明治末・昭和初期の亥年年賀状

明治末・昭和初期の亥年年賀状

明治末・昭和初期の亥年年賀状

日本で私製はがきが認可されたあと、初めて巡ってきた亥年の明治44(1911)年。
そして昭和になって最初の亥年、昭和10(1935)年。
それぞれの時代を映し、アイデアにあふれた年賀状をご覧いただきましょう。

◆明治の人に愛された、イノシシ十円札が年賀状に!

▲「甲十円券」(1899年発行)の札束が写った年賀状

▲「甲十円券」のデザインをもじった年賀状

明治末期に差し出された左上の年賀状に写っているのは、明治32(1899)年に日本銀行が発行したイノシシ入り十円札。そのパロディーとしてつくられたのが右の年賀状です。駆けるイノシシの左右には、お札に印刷されている「10」の代わりに年号が2ケタずつ並んでいますね。お札に「NIPPON GINKO」と入っている箇所には「KIYOGA SIN NEN」(恭賀新年)と賀詞を配置。「十円」を英表記した「TEN YEN」の代わりには「NEW YEAR」とあります。その上に小さく「I WISH YOUR HEALTH」(あなたの健康を祈ります)と入っているのも芸が細かいですね!

この「甲十円券」は、お札の裏面にイノシシが描かれていることから、通称「裏猪」(うらいのしし)と呼ばれていました。“ということは「表猪」(おもていのしし)もあるの?”とお思いのあなた、ご明察です! 明治23(1890)年発行の「改造十円券」は表面に小さく8匹のイノシシが描かれ、「表猪」の愛称で親しまれていたんだとか。

表猪・裏猪ともに、イノシシが描かれているのにはもちろん理由があります。どちらにも、奈良時代の公家「和気清麻呂」(わけのきよまろ)の肖像画が表面に使われていました。和気清麻呂はイノシシにまつわる伝説で知られる人物。その伝説にもさまざまなバージョンがありますが、平安初期の書物『続日本紀』によると、皇位継承を狙う怪僧・道鏡の企みを阻止し、恨みを買って刺客を放たれた清麻呂を、300匹のイノシシが身をていして守ったとのこと。和気清麻呂といえばイノシシだろう、という流れでイノシシたちもセットでお札に登場したようです。

この十円券パロディーは他の年賀状にも見られ、お札から飛び出したイノシシが札束をくわえて金庫の前を駆けるデザインも。一年間の日曜の日付を記した暦つきのバージョンもありました。細部までじっくり見ると、その遊び心にニンマリしてしまうかも!?

◆ご当地イノシシがいっぱい! “猪”がつく有名キャラも

こちらの年賀状には、イノシシゆかりの名物や名所がズラリ。中央に描かれたイノシシ像の「宇佐八幡」は、上でご紹介した和気清麻呂とイノシシの伝説が語り継がれているスポットです。

はがきの隅(左上)には、ご存知『西遊記』に登場するブタのキャラクター・猪八戒も「亥八戒」として描かれていますね。西遊記の舞台・中国では、亥年はイノシシではなくブタの年。中国語で「猪」の字が表すのもイノシシではなく、イノシシを家畜化したブタだそうです。その影響なのか、日本の亥年レトロ年賀状にも、よく見ると「これ、イノシシじゃなくブタでは……?」という絵が混ざっていますよ。ぜひ、下のリンクをたどって探してみてください!

◆観光ブームに乗って、郷土玩具が盛り上がった昭和初期

昭和初期、日本では観光ブームが巻き起こりました。それに伴って、旅行土産にうってつけの郷土玩具にもスポットが当たり、全国の郷土玩具を収集する愛好家が一気に増えたそう。「郷土玩具」という言葉が使われるようになったのも、昭和初期のことと言われています。

昭和10(1935)年の年賀状にも、そうした郷土玩具をモチーフにしたイラストが目立ちます。どことなくユーモラスで温かみのあるイノシシたちですよね。あなたの郷土ゆかりのイノシシを描いたレトロ年賀状とも、このミュージアムのどこかで出会えるかもしれませんよ! その一部は、復刻年賀状ページでもご紹介しています。

◆イノシシ+富士山といえば……あの武将をご存知ですか?

同じく昭和の亥年年賀状で目を引くのが、イノシシの背に武士がまたがっているイラスト。特に逆さまや横向きに乗っている姿が多く、富士山とセットで描かれたはがきもあります。

描かれているのは、源頼朝に仕えた武将の仁田四郎(仁田忠常、新田四郎などとも呼ばれます)。頼朝が富士山の裾野で大がかりな狩猟を行った際、頼朝に向かって突進する大イノシシの背に逆さに飛び乗り、一刀でしとめて頼朝の命を救ったという“いのしし乗り”の武勇で知られる人物です。

勇ましいエピソードですが、その伝説をモチーフに全国でつくられた郷土玩具を見てみると、なんとも愛嬌に満ちた表情をしているものも。レトロ年賀状のなかには、源氏の旗と富士山だけでこのエピソードを暗示させたオシャレなものもありますよ。現在は“知る人ぞ知る”存在となっている仁田四郎ですが、当時は今よりずっと知名度が高く、だからこそ亥年の年賀状にもたくさん使われているのでしょうね。

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