明治45(1912)年・昭和11(1936)年の子年年賀状から、2020年の年頭ご挨拶にも喜ばれそうなデザインをピックアップ。アンティークな色調で描かれた干支や人気のモチーフ、懐かしさとともに斬新さも感じさせる意匠など、レトロ年賀の枠を超えて現代にも受け継ぎたい逸品たちです。
昭和11(1936)年に送られた、野球がモチーフのイラスト年賀状です。選手も観客もみんなネズミ。ぎっしり居並んで見守っている観客の多さから、当時の野球人気が伝わってきますね。昭和9年にはアメリカからベーブ・ルースら大リーグ選抜チームが来日し、夏の甲子園も大いに盛り上がっていました。この昭和11年には7球団で構成された「日本職業野球連盟」が創立され、プロ野球が日本に誕生しています。
同じく昭和11年のお正月用にデザインされた、ネズミの餅つきを描いた年賀状がこちら。米俵をかついで運び入れる者、ペッタンコペッタンコと言いながら杵でつく者、手でこねて鏡餅を作る者、火をくべて蒸しにかける者。それぞれの役割分担が細かく描き込まれています。きっと当時のお正月には町のあちこちでこんな風景が見られたのでしょうね。和装と洋装が混在しているのも興味深い1枚です。
一面の朱色をバックに、深々とお辞儀をする2匹の白ネズミ。手前には閉じた扇子が置かれています。日本では古くから、相手への敬意を示す際にこのように扇子を手前に置いて「礼」(お辞儀)を行ないます。新年の挨拶に相応しい、とても美しく心に残るモチーフですね。
2020復刻版レトロデザインでは、シンプルな文字を加えて、少し違ったテイストに仕上げています。ぜひチェックしてみてください。
まるで冒険活劇のワンシーン!?
「打ち出の小槌」を魔改造したような空飛ぶ乗り物にまたがっているのは、和服を着たネズミのカップル。雪をかぶった富士山とたなびく霞の文様、ドラマチックな構図と色使いで、新年のワクワク感が伝わってくるデザインです。こんな飛行機に乗ったら、スリリングで忘れられない体験になりそうですね!
『古事記』に綴られている、大国主命(おおくにぬしのみこと)を救ったネズミたちの活躍を描いた年賀状です。荒野で火に囲まれてピンチに陥った大国主命に避難場所を教え、大国主命がとってくるように命じられていた矢を代わりに運んできてあげるネズミ一家。日本に昔からあるこのエピソードが、のちに中国から入ってきた大黒天と使者ネズミのイメージと結びつき、大国主命と大黒天が同一神とみなされるようになったといわれていますよ。
燕尾服でバイオリンを弾く上品なネズミの男性。はがき上部にある五線譜は、多少不正確な部分もあるものの、「年の初めのためしとて」で始まる唱歌「一月一日」のメロディーになっています。正装の洋服で洋楽器を構えていても、奏でているのは日本の歌だというのが素敵ですね。ハートのような猪の目マークには1912年1月のカレンダーが入っています。2020年復刻版デザインでは別のアレンジを加えていますよ。
ネズミの尻尾がうずまきになった遊び心たっぷりのデザイン。ネズミの男性の台詞が「マワシテゴラン」とカタカナになっているのもレトロな味わいがありますね。お子さんに宛てて差し出したくなるユニークな年賀状です。復刻デザインでは、右から左へ綴られた「賀正」の見出し部分に英語のご挨拶が入っていますよ。ぜひ手にとって回してみてください!
ふっくらしたパイロットの装束は大黒天風。飛行機の翼は「百億圓」札。ネズミは富を司る大黒天の使いで縁起の良いモチーフですが、こんな飛行機との組み合わせなら金運の御利益が倍増するかも!?
この年賀状が出された1912年は、ライト兄弟による初の有人動力飛行から8年後。世界各国で飛行機の開発競争が展開されていました。飛行技術の進化は郵便制度とも繋がりが深く、欧州ではこの頃に郵便の輸送飛行も始まっています。
これらにアレンジを加えて復刻した2020年用の年賀状は、下のリンク先から購入可能。
お気に入りが見つかったら、ぜひチェックしてみてください!