2022年に送りたいレトロな復刻年賀状

2022年に送りたいレトロな復刻年賀状

2022年に送りたい
レトロな復刻年賀状

明治や大正のころのお正月の様子や擬人化によるチョット面白い年賀状、乗り物をモチーフにした日本の年賀状と、1910年前後のヨーロッパの年賀状などを紹介していきます。

1.新年の回札

丸善の年賀状

明治35年 寅念

明治41年 申年

今ではもうほとんど見かけませんが、明治の時代、特に20年代までは、家や店の主人は親類やお得意先へ挨拶をして回る新年の回礼が一般的でした。明治15年の丸善の年賀状では、主人が従者にお年玉を持たせて回礼に出発する様子が描かれています。丸善ではこの2年前から、海外の取引先へ向けて、日本のお正月の行事などを紹介する年賀状を出しています。
同じく新年の回礼をモチーフにした年賀状は、明治35年の寅年の物や、明治41年の申年の物があります。それぞれ従者が同じような恰好をして首から箱をぶら下げ、ご挨拶のための簡単なプレゼント(お年玉)を運んでいます。

明治30年代に作られた挨拶シリーズの絵葉書(神坂雪佳作)には洋装、和装の紳士の正月回礼の様子が描かれています。大正8年の川柳の年賀葉書では、挨拶に回った先々でお屠蘇を勧められ、へべれけなって帰宅するご主人がユーモラスに描かれています。

2.寅の郷土玩具年賀状

山科毘沙門堂の寅面

令和4年用年賀郵便切手

地方の郷土玩具の絵や写真が年賀状のモチーフとして使われるのは今も昔もあまり変わりません。日本郵便が今年発行する年賀切手(寄付金なし)にも、郷土玩具の絵が使われています。この二枚の絵の作者は川崎巨泉、大正から昭和のはじめにかけて、おもちゃ絵で活躍した人物です。巨泉はこの頃流行していた趣味人による木版年賀状の交換会のために、参加者から依頼されてたくさんの作品を提供しています。昭和13年寅年に巨泉が提供した作品の一部を、巨泉本人の年賀状と共に紹介しましょう。
この中で、村松百兎庵は、自身が大正15年に拝受した山科毘沙門堂の虎面の絵を巨泉に依頼しています。そしてこの絵がそのまま今回の年賀切手の絵柄として採用されています。毘沙門堂の虎面ですが、30年ほど前に私が訪問した時にはもうなくなっていました。でも、京都の郷土玩具のお店には残っていて、この面を手に入れました。

江戸

鴻巣

三春

もう一つ、東京の青海堂の市販の年賀絵葉書には三匹の虎が描かれています。江戸と東北の三春、それと埼玉県鴻巣の虎です。鴻巣の虎は、先ほどの巨泉も自分の年賀状のモチーフとして描いています。

3.三田平凡児の木版年賀状

三田平凡児(1876~1963)は東京で材木商の長男として生まれています。子どもの頃の事故が原因で聴力を失いますが、明治29年、父の死後、家業を整理し始め、以降、家賃収入と土地の切り売りで生計を立て、趣味の道に突き進んだとされています。大正8年に趣味家集団「我楽多宗」をスタートさせ、自身「第一番札所、趣味山平凡寺」を名乗りました。彼の虎の年賀葉書は二つの版元から出版されており、上の2枚は地球印尚美堂(神田)製であり、下の2枚は岡田精弘堂(京橋)製。よく調べてみると、尚美堂の物は昭和13年用、岡田精弘堂の葉書は大正15年用であることがわかりました。市販、木版の干支の絵葉書はたくさんありますが、平凡児の絵は、プロでないだけに大胆さが群を抜いています。

4.満州からの年賀状

満洲国ができ、新天地を求めて大陸へ出かける日本人が多かったころの年賀状です。虎の絵が入っていますが、日本の虎とは少し雰囲気が違います。この2枚は大連にある満洲文化協会が発行しています。満洲の郷土玩具や、北支の芝居に使われる切り抜き人形がモチーフです。虎の親子の絵は、清国の官製葉書に肉筆で書かれています。昭和13年の年賀状として誰かが用意した物でしょうか。
「大吉昌」と大きく印刷された葉書、大連の中日文化協会が発行した昭和3年用の年賀葉書です。今回手に取ってみるまで、全く同じ葉書だと思っていたのですが、並べてみると、「大吉昌」の文字の位置が少し上下にずれています。右の葉書は「賀正、元旦」が入ることでバランスが取れていますが、左の葉書はそれなしでまとまっています。これらの葉書は満洲で使われただけでなく、「大吉昌」という文字、言葉のめでたさからか、日本国内でも使われています。左の葉書の差出人野村徳七は、野村証券などを創業した人で、実業家として活躍するだけでなく、古美術品の収集などにも力を注いだ人でした。凛としたたたずまいを感じさせる一枚です。

5.トラ、人となる(擬人化年賀状)

年賀葉書をポストから取り出す虎。年賀状を配達する虎。擬人化されたトラの絵葉書を大正3年(1914年)の年賀状を中心に探してみました。

二人(二匹)で年賀状を見ている虎は、こんな会話をしています。
右の虎「コノハガキハオモシロイ」
左の虎「ナカナカタクサンキタネ」
次の、家族で歌い、演奏している虎、女の子とお父さんのシッポがかわいいですね。

レストラン「トラ屋」の絵葉書、これは大正15年の年賀状です。子どもたちがおめかしして、ナイフとフォークで食事をしています。コーヒーを飲んでいる女の子も居ます。店員の虎が着物にエプロン姿で給仕や接客をしています。

6.乗り物モチーフの年賀状

日本とヨーロッパの年賀状の中から、乗り物が描かれた葉書を探してみました。日本の物から見ていきますと、明治30年代の初めには、もう汽車が登場しています。宇都宮駅前の旅館の年賀状ですので、鉄道はピッタリのモチーフと言えそうです。

大正時代のはじめの子どもの年賀状には、自動車や飛行機の絵も多く、その当時のあこがれの乗り物だったことがわかります。

海外の年賀状に目を移しますと、1910年(明治43年)前後の葉書の中に、たくさんの楽しい絵葉書を見つけることが出来ます。飛行機からラッキーアイテムを地上めがけてばらまいていたり、機上で乾杯する様子なども描かれていて、中には明治43年の年賀状としてドイツから名古屋宛てに出されたものもあります。

自動車というよりも車の描かれ方も、日本とは違っています。ラッキーアイテムの代表格であるブタが引っ張る荷車や、幌馬車(豚車?)があるかと思えば、車で年賀状を運ぶ子どもの絵や自動車を運転させてお買い物に出かけるご婦人の姿などもあります。ここで気が付いたのですが、東西を問わず、どの自動車も屋根のないオープンカーです。

日本では、干支の交代が年賀状のモチーフになりますが、ヨーロッパでは干支がないので、年号(西暦)が変わることをモチーフにした年賀状をよく見かけます。気球や飛行船、汽車や船までが新しい年を乗せてきています。

年賀葉書をポストから取り出す虎。年賀状を配達する虎。擬人化されたトラの絵葉書を大正3年(1914年)の年賀状を中心に探してみました。

これらにアレンジを加えて復刻した2022年用の年賀状は、下のリンク先から購入可能。
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