裏表
毛筆の文字がびっしりと書き込まれたこの年賀状は、
明治9(1876)年に差し出されたもの。
明治6(1873)年、日本初の官製はがきとして
二つ折り形式のものが発行され、
2年後の明治8(1875)年に初めて現在と同じく
折り目のない単面官製はがきが登場しました。
そのため、このはがきは単面官製はがきの
最古級にあたる貴重な一枚です。
西欧の絵はがきブームが日本にも入ってくると、
明治33(1900)年、官製はがきと同じ料金の切手を貼って
私製はがきを差し出すことが認められました。
その翌年から、おめでたい意匠を用いた多色刷りの年賀状が一気に増加。
左と左下のはがきは、私製はがき認可後に初めて巡ってきた戌年、
明治43(1910)年のもの。赤富士をバックに犬が飛行船に乗っているイラスト、
「おめでたう」の言葉と共に子どもたちと犬が1910を形作るデザインからは、
身近な犬を用いてどんな年賀状を創作しようか、と思いめぐらす
創り手のワクワク感が伝わってくるかのようです。
日本で最もはがきが美しかった時代。
明治の終わりから大正の頃は、
日本で最もはがきが美しかったといわれる時代。
創意工夫が凝らされたこの当時の年賀や、
カラフルでモダンな意匠が目をひく昭和初期の逸品を、
じっくりとお楽しみください。