2020年から本格化し、世界中を巻き込んで猛威を奮う新型コロナウイルス。
今回の騒動をきっかけに「仕事や勉強のやり方が大きく変わった」という方はたくさんいることでしょう。
新年を祝い、心あらたな挨拶と感謝を届ける年賀状。その役割が、2021年には世相を反映して少し変わることになるかもしれません。
今回の記事では2020年に大ブームになった「妖怪アマビエ」にまつわる情報を振り返りながら、2021年に向けて「どんな年賀状が相手に喜ばれるか」を考えてみます。
また「おたより本舗」で登場している、2021年らしい注目の年賀状デザインも取り上げてご紹介します。
「アマビエ」ってどんな妖怪?その謎に迫る
「悪疫退散のご利益がある」として、SNSやニュースなどあちこちで取り上げられている妖怪アマビエ。そもそもなぜこれほどまでに注目されているのでしょうか?

『肥後国海中の怪(アマビエの図)』(京都大学附属図書館所蔵)
(原文)
肥後国海中江毎夜光物出ル 所之役人行
見るニ づの如之者現ス 私ハ海中ニ住アマビヱト申
者也 當年より六ヶ年之間 諸国豊作也 併
病流行 早々私ヲ写シ人々ニ見セ候得と
申て海中へ入けり 右ハ写シ役人より江戸江
申来ル写也
弘化三年四月中旬
(現代語訳)
肥後の国(現在の熊本県)で海中から夜ごと光が現れるという怪現象が起きたため、役人が調査に向かったところ、現れた怪物は「自分は海の中に住むアマビエという者である」と名乗った。
そして「今後6年間は豊作が続くが疫病も流行する。早く私の姿を描き写して多くの人に見せなさい」と言い残して海中に帰っていった。この絵は役人がその姿を描き写し、江戸へ送ってきたものである。 弘化三年(1846年)4月中旬
上の図は1846年(江戸時代後期)の瓦版の一種で、アマビエの姿と語った言葉を伝えているものです。
当時の人々がアマビエのご利益にあやかるために印刷されて世間に広まったものと推測されています。
描かれている姿は今でいう半魚人のようで、ウロコのある身体、長い髪の毛、鳥のくちばし、三本のヒレのような足と、いかにも恐ろしげな妖怪。
しかし、予言と悪疫退散の方法を教えてくれたという伝承から、人間を助けてくれる存在として人々に親しまれるようになったのです。
アマビエで「コロナ退散」を願う動きが活発化
コロナ禍の中でアマビエの絵の噂が広まり、多くのイラストレーターや漫画家などがコロナ終息を願って自分流に解釈した「アマビエの絵」をSNSに投稿しはじめました。
アマビエのコスプレをした芸能人のユニークな写真投稿も話題を呼び、一連の動きは「#アマビエチャレンジ」などと呼ばれて大きな盛り上がりを見せました。
SNSだけにとどまらず、大企業のホームページでも、社員が描いたアマビエの絵を披露するケースをあちこちで見かけることがあります。
また、アマビエのお守りや御朱印を参拝者に授けて「コロナ退散」を祈願する神社やお寺も現れました。その中の一つ、東京都にある國領神社ではアマビエの御朱印をコロナ終息まで無料でダウンロードできるようにホームページが整備されています。
さらには自治体や厚生労働省までもが感染症防止キャンペーンのアイコンとしてアマビエを採用。とうとう国家規模でアマビエにあやかろうという動きに発展したわけです。
他にもアマビエをかたどったお菓子やキャラクターとのコラボグッズなども続々と販売され、日本各地でアマビエでコロナ退散を願う活動が盛んになっています。
妖怪の大御所・水木しげるさんのアマビエがWEB会議で活躍
妖怪といえば多くの人が思い出すのが、2015年に亡くなった漫画家の水木しげるさん。水木さんは生涯にわたって日本だけでなく世界中の妖怪伝承を集め、漫画に描いてきた国民的な漫画家です。
水木さんのマンガや本の中ではアマビエが複数回にわたって登場しており、作者の思い入れのあるキャラクターだったことがうかがえます。
現在は水木プロダクションと、地元の東京・調布市役所が連携し、市役所のホームページから水木さんが描いたアマビエのイラスト(WEB会議用の背景画像)がダウンロードできるようになっています。
世の中を映しだす年賀状からアマビエデザインをPick Up
おたより本舗には毎年多くのプロのイラストレーターが年賀状のための作品を寄せています。
トレンドを取り入れ、話題性のある年賀状デザインが揃うことでご好評いただいているおたより本舗。イラストレーターのみなさんとの連携と、年賀状づくりへの情熱の賜物と言えます。
今回は「コロナ禍に負けず希望ある新しい年を迎えるためにと」生み出されたデザインの中から、アマビエをテーマにした作品をピックアップしてご紹介します。
相手の無事とコロナ終息への願いがさりげなく込められたアマビエたち、それぞれの個性があふれています!
アマビエが牛とお雑煮を楽しむデザイン
イラストレーターにかかれば、ちょっとおどろおどろしい妖怪もこんなにおちゃめなキャラクターに!
干支の牛たちと楽しくお正月を過ごす姿をほんわかしたタッチで描いています。
気遣いが前面に出てしまうおたよりは、深刻になったり堅苦しくなったりしてしまいがち。親しい人に送るなら、明るい気持ちになれるこんな年賀状をチョイスするのもおすすめです。
夢見るようなファンシーなアマビエ
女子に人気のピンクを基調にした柔らかい雰囲気のデザイン。子供向けに送っても喜ばれそうですね。
優しい祈りの気持ちが伝わってくる絵柄です。
男性にもおすすめのアマビエデザイン
ちょっとレトロ風味で可愛らしさとお洒落がミックスされたこんなデザインなら、男性も抵抗なく送れるのではないでしょうか。(デザイン・株式会社シフカ)
この他にも、各作家さんたちの力作を毎年取り揃えているおたより本舗。こちらからデザイン一覧をチェックしてくださいね。
まとめ
巣ごもりで外出を控えることが多かった2020年。
新型コロナ感染防止対策のためにリモートワークに踏み切った企業が多く、学校の授業もリモートで行われるケースが増えました。
新型コロナによって、「新しい生活様式」への移行や人々の価値観の変化とともに、新年のご挨拶である年賀状にも新しい波が押し寄せています。
中には「明けましておめでとう」という言葉をストレート使うのもなんだか気が引ける状況だ、という方もいるかもしれません。
2021年に送る年賀状には「来年はきっといい年になってほしい!」という思いを込めたいものですよね。
人と人とのつながりの大切さやありがたさは、SNS上のデジタルなやり取りだけでは伝わりにくいことも。
送り手のぬくもりが感じられる年賀状で「元気にしていますか?」「私は元気ですよ」のメッセージを伝えられると素敵ですね。
なかなか会えないときに目に見える形で絆を感じさせてくれる年賀状は、きっと温かいコミュニケーションツールになってくれることでしょう。