家族や近しい人が亡くなった場合、一定期間晴れがましいことや派手な行動を慎みます。その期間が「喪中」であり、新年を祝う年賀状も、控えるお祝い事の一つです。
しかし、年末に不幸があった際などは喪中はがきを出している余裕がない場合もあります。
喪中と知らず年賀状を出してしまうことだって起こり得るでしょう。今回は、そのような場合の対処法などをまとめてみました。
目次
喪中の人に年賀状を出すのはタブー?
そもそも、なぜ喪中の人に年賀状を出してはいけないのでしょうか。
「喪中の期間はお祝い事を避ける」というのが日本の古くからの慣習ですが、喪に服す期間も、避けるべき事柄も、実際のところさまざまです。
元々、地域ごとに育まれてきた歴史や文化の中で脈々と受け継がれてきた風習なので、統一された「こうしなければいけない」という決まりがあるわけではないようですね。
そもそも喪中はがきって?
「喪中はがき」とは、正しくは「年賀欠礼状」といい、『喪中のためこちらからの年末年始のご挨拶は控えさせていただきます』ということをお知らせするものです。
喪中の人が年賀状を自ら送ることは良くないとされていますが、受け取ること自体はマナー違反ではないという考え方もあります。
喪中とはいえ、親しい方々の近況を知ることができる年賀状を毎年楽しみにされている方も、中にはいらっしゃるでしょう。
相手の方から「喪中ですが年賀状をいただく分には問題ありません」と申し出があれば、年賀状を送ること自体はタブーというわけではありません。
しかし、悲しみに暮れているとき、おめでたい言葉の並んだ年賀状を受け取るのはやはり不快な気持ちになってしまう可能性があります。
失礼のないよう、何よりも相手の方への配慮を念頭に行動すべきでしょう。
喪中なのに年賀状を出してしまった!
先方が喪中はがきを出す間もなく不幸が起こった場合、引っ越しなどで喪中はがきを受け取れなかった場合、年賀状を投函した後に不幸を知った場合などなど、行き違いで年賀状を出してしまった、ということも起こり得ますよね。
または、喪中はがきが届いていたにもかかわらず、宛名データの管理に不備があって誤って年賀状を出してしまった、ということもあるかもしれません。誰にでも、ミスはあります。
そのような時の対処法をご紹介しましょう。
【1】郵便局へ取戻し請求を行う
すでに年賀状を投函してしまっていても、「相手に失礼なことをしてしまった…」と落ち込む前に、まずは気づいた時点で、一にも二にも「取戻し」請求ができるか確認しましょう。
「取戻し」とは、郵便局に依頼し配達を取りやめることです。近くの郵便局または取扱局に申し出をすれば対応してくれ、郵便物の配達前であれば取戻しが可能です。ただし、申し込みにかかった料金(年賀はがきの代金など)は返金になりません。
また、差出地の集配局を出ていなければ無料で取戻しできますが、差出地の集配局を郵便物が出てしまっていれば、取戻し請求手数料として配達郵便局に請求の場合420円、その他の郵便局に請求の場合580円が必要となります。
詳しくは、日本郵便のホームページにてご確認ください。
【2】取戻しが間に合わなければ、早めに電話や手紙でお詫びを
喪中だと知った時、喪中だと気づいた時にはすでに年賀状が発送されていた場合は、速やかにお詫びをしましょう。メールなどで連絡するよりも、電話や手紙でお詫びするほうが誠意が伝わります。
喪中と知らず年賀状を出してしまったケースなら、相手の方も理解を示してくれると思いますが、知らせていたのにも関わらず新年を祝う言葉とともに届いたら…気を悪くする方も、中にはいらっしゃるかもしれません。なるべく早くお詫びするのが得策です。
喪中と知っていながら自分のミスで年賀状を送ってしまったことをお詫びしましょう。
喪中はがきを受け取っていた場合は、正直にきちんと届いている旨も報告しましょう。相手に「喪中はがきを送り漏れていたかな?」などと、余計な心配を与えてしまうことは良くありません。
【3】寒中見舞いは松の内が明けてから
お電話などで直接非礼をお詫びした上で、改めて、寒中見舞いでお悔やみとお詫びの気持ちを伝えましょう。
寒中見舞いは、二十四節気の「小寒」(1月5日頃)と「大寒」(1月20日頃)の間の期間に出す季節の挨拶状です。一般的には、寒い時期に相手を気遣って出すものですが、喪中欠礼や、故人宛の年賀状に対する返礼、そして喪中の方へのご挨拶をお伝えするときにも活用されます。
寒中見舞いは、1月7日の松の内(門松などを片付ける日)を過ぎた後に届くように用意しましょう。遅くとも大寒の最後の日、立春の前の日である2月3日までに届けば問題ありません。立春を過ぎてからは、「余寒見舞い」になるので、注意してください。
【4】喪中見舞い(お悔み状)を出すのも手
年内に一刻も早く、哀悼の気持ちをお伝えしたい場合は、「喪中見舞い(お悔み状)」を出すのも良い方法です。喪中見舞いは、「年明けを待たずに、できるだけ早く、お悔やみのご挨拶をしたい」と考える方が増えたことを受けて近年誕生した、新しい弔意の伝え方です。出すタイミングは年内です。
寒中見舞い例文まとめ
喪中の方に対して年賀状を出してしまった場合の、寒中見舞いの文例をご紹介します。参考にしてみてくださいね。
<その1>
この度は●●様ご逝去とのこと ご服喪中を存じ上げず年頭のご挨拶を申し上げてしまい
大変失礼いたしました
また お悔やみが遅れましたことをお詫び申し上げますと共に
心よりご冥福をお祈り申し上げます
ご家族の皆様におかれましてはさぞかしご傷心のことと存じますが
何卒お身体を大切にお過ごしくださいませ
令和二年 ●月
<その2>
●●様ご逝去のこと存じ上げず
年始のご挨拶を差し上げてしまいましたこと 深くお詫び申し上げます
●●様のご冥福を謹んでお祈り申し上げます
寒さも一段と厳しくなってまいりましたので どうかお身体を大切にお過ごしくださいませ
令和二年 ●月
亡くなった方がどなたかわからない場合は、「故人」と書いて問題ありません。短い文章で、率直にお詫びと、相手をいたわる言葉を伝えます。
気をつけること
喪中の方へ寒中見舞いを書く際は、以下のことに気をつけましょう。
- 年賀状を送ってしまったお詫びを書く
- 故人の方へのお悔やみの言葉を添える
- 相手の体調を気遣う言葉を最後に添える
- 「賀」「元旦」などのおめでたい言葉や正月を連想させる言葉は避ける
- 「年賀状」とは書かず、「年始状」や「年頭のご挨拶」と表現する
- 干支や日の出など、年賀状に使用するようなモチーフも用いない
- 時候の挨拶は不要
- 年賀はがきではなく、日本郵便の通常はがきまたは私製はがきを使用する
- 派手でない落ち着いたデザインのものにする
「親しき仲にも礼儀あり」です。相手がたとえ気心の知れた友人であっても、フォーマルな文体で、マナーを重んじ、悲しみの最中にある相手の方を気遣いましょう。
まとめ
年賀状を送った相手が喪中だと気付いた時点で、速やかに対処しましょう。
年齢を重ねるごとに喪中はがきをいただくことも増えますが、悲しみに暮れる相手に対し、失礼のないよう、パソコンなどで管理を間違いなく行いたいところです。
すでに年賀状が届いてしまった場合には、「悲しみの最中にお祝いのはがきを出してしまい申し訳ない」という気持ちをしっかりと伝えることと、長く付き合う相手への心づかいが大切です。
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