家族や親族が亡くなった場合、残された遺族はしばらくの期間喪に服し、様々なお祝い事を控えるのが一般的です。年賀状もその一つで、「喪中はがき」を出し、やりとりを行わないのが通例です。
しかし、年末に不幸があった場合、先方に喪中である旨を伝える余裕がないこともあるでしょう。また、自分の年賀状を出してしまった後に不幸が起こるケースも考えられますよね。
そこで今回は、年末に不幸が起こった場合の様々な対処法についてご紹介します。
目次
12月に身内の方が亡くなった・・・急いで喪中ハガキを出すべき?
12月初旬までに亡くなった場合・・・
もし不幸があったのが12月初旬までの間で、時間や余力があれば喪中はがきを出しましょう。相手方が年賀状を出すであろう時期よりも前に届くように出すことができればいいのですが、間に合わないようであれば出さなくても問題はありません。出す場合は、郵便局での年賀状の受付開始が12月15日なので、それまでに相手へ届くよう12月の初めまでに出しておけばよいでしょう。
喪中はがきは、ご逝去をお知らせするためのものでは決してありません。正しくは、「年賀欠礼状」と言い、『喪中のため年末年始のご挨拶は控えさせていただきます』という意思をお伝えするものです。慌ただしくて用意する時間がなければ、無理して行う必要はありません。
12月中旬を過ぎて亡くなった場合・・・
12月15日の年賀状引受開始までに確実に間に合わない場合は、喪中はがきを出さないほうがいいです。喪中側は年賀状を控えるべきですが、相手に「送ってはいけない」と強制するものではありません。
逆に、年賀状を投函した後に喪中はがきを受け取ったら、「どうしよう!年賀状出しちゃった・・・」と相手に気を遣わせてしまうことにもなりかねません。年賀状を受け取った場合は、年が明けてから「寒中見舞い」として年賀状のお礼と、お返しができなかったお詫びをお伝えするのがよいでしょう。後ほど文例を紹介しますので、参考にしてみてくださいね。
お供えをいただいたら?
喪中はがきを送った相手から、お供えをいただくことがあります。その場合も、礼儀を欠くことのないよう、お供えへのお礼、故人との生前のおつきあいへのお礼、略儀で済ませることへのお詫びをしたためたお礼状を送りましょう。
香典返し同様、「志」として、いただいたお供えの1/3〜半額程度(半返し)の予算でお返しを贈るとより丁寧です。お返しはあとに残らないもの(消えてなくなるもの)が良いとされ、洗剤・石鹸や、好き嫌いの少ないお茶といった日用品・消耗品がふさわしいとされています。ただ、最近はライフスタイルの変化により、こだわりのある方も多いため、カタログギフトでのお返しも定着しています。
すでに年賀状を投函した後に不幸が起こったら?
取戻しができる場合も
すでに年賀状を投函してしまった!というケースも起こりうると思いますが、決して諦めないでください。郵便物の配達前であれば、郵便局に取戻し請求を行い配達を取りやめることができます。ただし、申し込みにかかった料金(年賀はがきの購入代金など)は返金になりませんのでご注意ください。
また、差出地の集配局を出ていなければ無料で取り戻しできますが、差出地の集配局を取り戻し郵便物が出てしまっていれば、取り戻し請求手数料として配達郵便局に請求の場合420円、その他の郵便局に請求の場合580円が必要となります。
詳しくは、日本郵便のホームページにてご確認ください。
仕事上お付き合いがある相手にも控えるべき?
仕事上のお付き合いがある方には、そのまま年賀状を出してしまってよいものか悩みますよね。取引先など、会社と会社の付き合いをしている相手には、出さないよりもむしろ出すほうがよいでしょう。個人的に喪中ですが、取引先宛年賀状の送り主は『会社』となるため、プライベートとは分けて考えるのがビジネスにおいてのマナーです。
新年の挨拶代わりに寒中見舞いを出そう!
喪中はがきが間に合わなかった、そんな時は「寒中見舞い」を活用しましょう。年賀状を送りそびれた場合などに出すことが多い寒中見舞いですが、喪中の時も新年の挨拶代わりに取り交わされることが多いのです。しかし、あまり書く機会のなかった方にとっては、出すタイミングや文例など、様々な疑問が出てきますよね。
寒中見舞い、出すタイミングは?
寒中見舞いの「寒中」とは、二十四節気の「小寒」(1月5日頃)と「大寒」(1月20日頃)の間の期間をいいます。通常、1月7日の松の内(門松などを片付ける日)を過ぎた1月10日頃、相手に届くように出すのが最も良いとされており、遅くとも大寒の最後の日である2月3日までに届くように出しましょう。
寒中見舞いの文例は?
下記は一例です。喪中で年賀状が出せなかったことや、知らせるのが遅れたことへのお詫びの言葉を添えましょう。
<喪中の告知と欠礼のお詫び>
ご丁寧なお年賀のご挨拶をいただきましてありがとうございました
皆様ご健勝でお過ごしとのご様子 なによりとお喜び申し上げます
喪中のため年始のご挨拶を差し控え失礼いたしましたが
本年もよろしくご交誼のほどお願い申し上げます
令和●年 ●月
昨年春に●●を亡くしまして
ただいま服喪中のため欠礼させていただきましたこと お詫び申し上げます
くれぐれもご家族の皆様には
お体を大切にお過ごしくださいますよう
お祈り申し上げます
令和●年 ●月
<喪中を知らせずに年賀状をいただいてしまった方へ>
ご丁寧な年頭のご挨拶をいただきまして 誠にありがとうございました
皆様ご健勝でお過ごしとのご様子 なによりとお喜び申し上げます
昨年●月 ●●(享年●歳)が他界いたしましたため 年頭のご挨拶を遠慮させていただきました
旧年中にお知らせするべきところ遅くなり大変失礼いたしました
本年も皆様にとりまして良い年でありますよう 心よりお祈りいたしております
令和●年 ●月
寒中見舞いの注意点
・年賀状を使用しない
日本郵便の通常はがき、または切手を貼る私製はがきを使うのが一般的です。干支や日の出など、年賀状に使用するようなモチーフも用いないようにし、派手でない落ち着いたデザインのものにします。
・新年を祝う言葉は使わない
喪中ですので、年賀状同様、賀詞やおめでたいとされる言葉は避けます。
・2月4日(立春)を過ぎる場合は「余寒お見舞い」となる
寒中見舞いは、2月4日の立春までに相手に届くように出しましょう。余寒見舞いとは、暑中見舞いに対する残暑見舞いのようなもので、一般的に2月末までに出します。
まとめ
いかがでしょうか。忙しい師走に不幸が起きれば、遺族はより慌ただしい年末年始を過ごすことになりますが、生前故人がお世話になった方へ、「故人に代わって」挨拶をすることはとても大切なことです。
例え喪中はがきが間に合わなくとも、年明けの落ち着いた時期にきちんと挨拶をすれば、相手も理解してくれると思いますよ。大変ですが、体に気をつけながらぜひ参考にしてみてくださいね。
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