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そもそも、なぜ故人宛の年賀状が届くのか?
故人宛の年賀状が届くと、受け取った家族はもちろん、送ったことで亡くなられたことを知る送り手側もどこか居心地の悪い気分になるものです。一般的に故人が亡くなった際、親しかった人には葬儀に参列してもらったり、喪中はがきを出すなどして、故人の他界を知らせます。
しかし、故人の他界の知らせを受けていたとしても、年賀状ソフトの住所録を更新せず一括印刷していたり、高齢のため家族が代行して年賀状を作成している場合など、誤って年賀状を送ってしまう可能性があります。また、故人との付き合いが年賀状だけの関係になっている場合は、そもそも他界の知らせが届いていないというケースもあり得ます。
故人の知り合いすべてに喪中はがきを送ることは不可能なため、故人宛に年賀状が届いてしまうことは、誰にでも起こり得ます。年賀状を受け取ってから焦らなくてすむよう、どんな準備をしておけばよいのかをご紹介します。
故人宛の年賀状に対しては寒中見舞いで返事を書く
故人宛ての年賀状を家族が受け取った場合は、「寒中見舞い」で返事を書くことが一般的です。
では、寒中見舞いとはどんな役割なのでしょうか。寒中見舞いを出す時期や内容、構成はどうすればいいのでしょうか。ここからは、寒中見舞いを書く上で気をつけたいポイントについて、文例を交えながら詳しくご紹介していきます。
寒中見舞いとは?
寒中見舞いとは、寒さが厳しい季節に相手の体調を気遣い、お互いの近況を報告し合う挨拶状のことです。単に季節の挨拶という意味にとどまらず、様々な使われ方をします。
例えば、年賀状を出すのが遅くなってしまった場合や、相手の方が喪中の場合などに、年賀状の代わりとなる挨拶状としても使われています。
このように、多様な使われ方をする寒中見舞いですが、喪中と知らずに年賀状をくださった方へのお返事としても使われます。したがって、故人宛に年賀状が届いた場合でも、慌てずに寒中見舞いで対応すれば大丈夫です。
寒中見舞いはいつからいつまでに出せばよいのか
それでは寒中見舞いは具体的にいつからいつまでに出せば良いのでしょうか。
寒中見舞いの「寒中」とは、小寒と大寒の間にある期間を指すことからそう呼ばれます。具体的には、松の内が明けてから、大寒の最後の日である節分までの期間のことです。松の内は1月7日までなので、1月8日から2月3日までの期間に寒中見舞いを出せばよいでしょう。
なお、寒中見舞いを出すのが遅れてしまい、立春の2月4日以降になる場合は、寒中見舞いではなく「余寒見舞い」となりますので注意が必要です。
寒中見舞いを書く時のポイントと注意点
故人宛の年賀状に寒中見舞いで返信する場合は、基本的な構成があるので、次のひな形にしたがって書けば困ることはないでしょう。
- 季節の挨拶
- 年賀状のお礼
- 故人の他界の知らせ
- お知らせできなかったお詫び
- 生前のお付き合いへのお礼
- 相手の体調の気遣い
- 日付と差出人の名前
なお、用紙は、日本郵便の通常はがきか私製はがきを使います。寒中見舞いはお正月の挨拶ではないので、余った年賀状を使うことはNGです。
また、年賀状で使われる日の出や干支などのおめでたいイラストは避け、椿の花など冬の風物詩をあしらったシンプルで落ち着いた絵柄を使うのがよいでしょう。
そのまま使える!寒中見舞いのおすすめ文例
つづいては、故人宛に届いた年賀状への返信として使える寒中見舞いのおすすめ文例を二つご紹介します。自分なりの寒中見舞いのフォーマットを持っておくと、スムーズに対応できると思いますので以下の文例を参考にしてみてください。
文例1
寒中お見舞い申し上げます
早々にご丁寧なお年始状を頂きまして ありがとうございました
皆様にはお健やかに新年を迎えられたご様子 何よりと存じます
昨年○○月に父○○が急逝いたしました
ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます
父が生前に賜りましたご厚情に深謝致しますとともに
皆様の一層のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます
令和○年 一月 長男○○
文例2
寒中お見舞い申し上げます
先日はご丁寧な年頭のご挨拶を頂戴し 誠にありがとうございます
母○○は昨年○○月に他界いたしました
ご通知が遅れましたことをお詫び申し上げますとともに
故人との生前のご交誼に心より御礼申し上げます
酷寒の折 何卒お身体を大切に 穏やかに新春をお過ごしください
令和○年 一月 長女○○
上の文例は二つとも、寒中見舞いを書く上でおさえておきたい7つのポイントがきちんと入っています。
もちろんこのままでも使えますが、語彙の言い回しや表現はご自身でアレンジしてください。
まとめ
さて今回は、故人に年賀状が届いた場合の家族の対応法や、寒中見舞いの書き方についてご紹介してまいりました。
大切な人を亡くし、悲しさが残っているのに年賀状が届くというのはつらいものですが、年賀状を送ってくれた故人のお知り合いに何も連絡をしないというのは失礼にあたりますよね。何も返事をしなければ、翌年も年賀状が届くということも考えられます。
今回ご紹介した寒中見舞いでは、亡くなったこと、お知らせできなかったお詫び、生前のお礼、相手への気遣い等、伝えたいことが網羅されていますので、どんな挨拶をすればよいのか?と悩まれていた方は安心されたのではないでしょうか。
身内に不幸があった場合は、喪中はがきに加え、寒中見舞いのことも考えておけば、戸惑うことなく対応できますね。