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喪中なのに年賀状が届く様々なケースと対応法について
喪中なのに年賀状が届くと、受け取り手はもちろん、後で喪中と知った送り手も気まずい思いをするものです。喪中に年賀状が届く場合は二つのケースに分けられます。それは、「喪中はがきを出した相手から年賀状が届いたケース」と「喪中はがきを出していない相手から年賀状が届いたケース」です。それぞれ順番にご紹介していきましょう。
喪中はがきを出した相手から年賀状が届いても失礼にはあたらない
まず初めに、「喪中はがきを出した相手から年賀状が届いたケース」について考えてみましょう。「喪中はがき」とは、一年以内に近親者に不幸があった場合、喪に服するために新年の挨拶を控えることを事前にお知らせする挨拶状で、正式には「喪中欠礼状」と呼ばれています。
喪中はがきを出した相手から年賀状が届いた場合、心のどこかで“こちらが喪中であることを事前に伝えているのに年賀状を送ってくるなんて失礼じゃないか”と思う方も多いと思います。
しかし、正式なマナーとしては、喪中の相手に年賀状を送ることはマナー違反ではありません。喪中はがきは、あくまでも「喪中のためこちらからのご挨拶は控えさせていただく」ことを伝えるもので、相手からの年賀状を断るものではないからです。とはいえ、マナー違反ではないにしろ、喪に服しているときにおめでたい年賀状をもらった時の受け手の気持ちを考慮すると、送らないでおくのが無難です。
喪中はがきを出していない相手から年賀状がきたら寒中見舞いで返信する
つづいては、「喪中はがきを出していない相手から年賀状が届いた場合」の対応を紹介します。
喪中の時に年賀状が届いても、年賀状での返信はできないからそのままに…。でも、年賀状を送ってくれた相手に返事をしないのは申し訳ない、どうしたらいいんだろう?という経験はありませんか?
このようなケースでは、寒中見舞いで返信するのが基本的なマナーです。
一般的に「寒中見舞い」とは、寒さが厳しい時期に送る季節のご挨拶状のことで、相手の体調を気遣い、こちらの近況報告を伝える役割があります。そして寒中見舞いには、季節の挨拶状としての役割だけでなく、こちらが喪中の時に年賀状の代わりに出す挨拶状としての役割もあります。
以下にご紹介する寒中見舞いを書く上での注意点をしっかりおさえておけば安心です。
寒中見舞いを出す時期は松の内が過ぎてから
寒中見舞いを出す時期は具体的にいつからいつまでなのでしょうか。
寒中見舞いの「寒中」とは、小寒と大寒の間にある時期を指すことからそう呼ばれます。
具体的には、松の内が明けてから大寒の最終日である節分までの期間を「寒中」とします。松の内とはお正月の門松を飾っておく期間のことで、その松の内が過ぎるとお正月明けとされています。松の内の期間は地方によって若干異なりますが、関東では1月7日までを松の内とします。したがって、寒中見舞いを出す期間は、松の内が明ける1月8日から節分の2月3日までとなります。なお、節分の翌日・立春(2月4日)を過ぎると、寒中見舞いではなく「余寒」見舞いとなるので注意が必要です。
喪中に年賀状が届いた場合は、この約一ヶ月の間に返信するようにしましょう。
寒中見舞いの基本的な構成とマナーについて
喪中に年賀状が届いた場合には寒中見舞いで対応すればよいことが分かりましたが、それでは寒中見舞いはどのように書けばよいのでしょうか。
まず、寒中見舞いの文面で雛形となる構成をご紹介します。
①季節のご挨拶
②年賀状のお礼
③喪中のため年始の挨拶ができなかった旨
④お知らせできなかったお詫び(喪中欠礼状を出していない場合)
⑤相手の体調への気遣い
⑥日付と差出人の氏名
なお、寒中見舞いはお正月の挨拶ではないので、余っていたとしても年賀はがきとして使ってはいけません。また、日の出や干支などお正月のモチーフを使ったデザインも避けましょう。寒中見舞いには、日本郵便の通常はがきか私製はがきを使い、椿の花などの冬らしいモチーフの入った落ち着いたデザインを選びましょう。
寒中見舞いの文例
寒中見舞いの文例について、お伝えした構成に沿ったものをご紹介しましょう。
【文例1】
寒中お見舞い申し上げます
ご丁寧な年頭のご挨拶を頂きありがとうございました
亡き母○○の喪中につき年頭の挨拶を控えさせて頂きました
本来ならば旧年中にお知らせ申し上げるところ 年を越してしまいました非礼をお詫び申し上げます
寒さ厳しき折柄一層ご自愛のほどお祈り申し上げます
令和○年 一月 氏名
【文例2】
寒中見舞い申し上げます
ご丁寧なお年始状を頂き有り難く存じます
亡き父○○の喪中につき年頭の挨拶を控えさせて頂きました
旧年中にお知らせ申し上げるべきところ 年を越してしまいました非礼をどうぞお許しくださいますようお願いします
まだまだ寒い日が続きますが ご自愛くださいますようお祈り申し上げます
令和○年 一月 氏名
上記の文例を参考に、ご自分なりにアレンジしたフォーマットを持っておくと便利です。
喪中の時に仕事関係の取引先から年賀状が届いた場合の対応
さて、年賀状は家族や親戚、親しい友人や知人などとの間だけでやり取りされるわけではありません。年賀状は仕事上でも頻繁に交わされます。
それでは、こちらが喪中の時に仕事上の取引先やお客様から年賀状が届いた場合はどのように対応すればいいのでしょうか。
このような年賀状は、会社と会社とのやり取りになりますので、個人が喪中であることは関係なく、会社名義の年賀状で返信すれば大丈夫です。そもそも法人に喪中という概念はなく、あくまでも個人に適用されるものなのです。
【番外編】喪中はがきに年賀状を希望する文面があったら??
基本的には、喪中はがきが届いた場合、喪中の方に年賀状を出すことはありませんよね。
しかし、最近では、喪中はがきの文に以下のような内容が記載されていることがあります。
喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます
今年中に賜りましたご厚情に深謝申し上げますと共に
明年も変わらぬご厚誼のほどお願い申し上げます
なお 寂しい正月となりますので当方宛てのお年始状は喪中に遠慮なくお送りいただけると幸いです
このような場合、年賀状を出すかどうか迷われる方が多いと思います。
喪中の方ご自身が年賀状を望んでいるわけですから、出しても差し支えはありません。でも、やはり失礼なのでは?とか今年の年賀状は派手すぎる等、気になるようでしたら「寒中見舞い」でご挨拶を差し上げるとよいでしょう。
まとめ
さて、ここまで喪中なのに年賀状が届いた場合の対応について、詳しくご紹介してまいりました。
年末の年賀状の準備には慣れていても、喪中の対応にはあまり慣れていない方が多いと思います。年明けに年賀状が届いて慌てないように、寒中見舞いについて正しい知識を持って対応できるようにしておきましょう。また、ご自身が喪中でない方も、この機会に喪中の際の対応をしっかりと把握しておくとよいですね。