年賀はがきは暮れになると、毎年当たり前のように郵便局から買ってきて「今年の干支は、え~と・・・」などと言いながら裏面を考えたり、宛先の住所を確認したりと慌ただしく作っていませんか?
ですから、年賀状自体のデザインというのはあまり気にしていないのが一般的ではないでしょうか。
年が明けて送られてきてようやくしげしげと眺めませんか?でもお年玉くじの番号のほうがメインで切手部分なんて細かく観察はしませんよね。
そういうあなたも今年は目線を変えて切手部分の干支のイラストに注目してみませんか?なんとそこには12年越しのストーリーが隠されているのです。
目次
皆さんは今年のお年玉付き年賀はがきの切手の部分を覚えてますか?
記憶の良い方は覚えていらっしゃると思いますが、2016年(平成28年)のお年玉付き年賀はがきの切手部分は、申年にちなんでニホンザルの親子が露天風呂に入っているイラストで、その下に大小二つの桶がありました。
「なるほどそうでしたね、でもそれが何か特別なんでしょうか?」と不思議に思う方に衝撃のストーリーをお伝えしましょう。12年前の2004年(平成16年)のはがきに書かれている切手部分のイラストは、独身のニホンザルが1匹のみで、その下に桶1つでした。
つまり、12年間の間に家族が増えていたというほほえましいストーリーが描かれていたのです。
一体いつから12年越しのストーリーが始まったのでしょう?
密かにこんな隠れストーリーを仕込むとは日本郵便もなかなかやるじゃないですか!でも一体いつからこのような隠れたストーリーを作っていたのでしょうか?最近になって気づいた方もいるように、それほど昔からではなさそうですので、1年ずつ遡って調べてみることにしましょう。
それでは「年賀状干支ストーリー過去への旅」に出発します
では2016年(平成28年)サルの親子が話題となった「お年玉付き年賀はがき」から1年前にさかのぼりましょう。
2015年(平成27年)未年、年賀状のイラストは自分で編んだ毛糸のマフラーをした羊です。では12年前の2003年(平成15年)のイラストはどうだったのでしょうか?調べてみると、毛糸で何かを編んでいる途中のイラストです。
つまり、「12年かけてマフラーが完成しました、でも自分の毛糸を使ったので少しやせました」というストーリーが隠されていました。
さらにもう1年さかのぼって見てみましょう。2014年(平成26年)午年、年賀状のイラストは蹄鉄です。その12年前の2002年(平成14年)のイラストは馬の顔で、深いストーリーはなさそうです。
ということは、2年前から日本郵便株式会社はひっそりと隠れストーリーを仕込んでいたようです。
さらに以前のデザインも知りたい方へ!「年賀状干支ストーリー過去への旅」パート2
どうせなら十二支が1巡りするまでのデザインを見てみたいと思うのが人間の心理というものです。それでは2014年以前も続けて調べてみましょう。
- 2013年(平成25年)巳年
デザインは蛇の目傘と寒牡丹ですが、蛇そのままのデザインだとイメージが良くないという判断なのでしょうか、語呂合わせで蛇の目傘になっています。
- 2012年(平成24年)辰年
デザインは龍が空を泳いでいる図案で左右に松をあしらっています。
- 2011年(平成23年)卯年
デザインは扇の上に雪ウサギをあしらっています。
- 2010年(平成22年)寅年
インクジェット写真用には虎の子が、インクジェット用には南天が描かれています。
- 2009年(平成21年)丑年
インクジェット写真用には牛のシルエットが、インクジェット用には牛車が描かれています。
- 2008年(平成20年)子年
インクジェット写真用にはムーミンみたいなネズミが、インクジェット用には大根にのっているネズミが描かれています。
- 2007年(平成19年)亥年
インクジェット用にうりぼう(イノシシの子供)のイラストが描かれています。
- 2006年(平成18年)戌年
子犬と梅の花のイラストが描かれています。
- 2005年(平成17年)酉年
インクジェット用に初鶏と呼ばれるニワトリのイラストが描かれています。
そして2004年(平成16年)が温泉に入った1匹のサルということで、これでようやく干支を1巡りしました。
ところで「年賀はがき」はいったい何時から始まったのでしょうか?
12年越しのストーリーが話題となる「お年玉付き年賀はがき」ですが、ずいぶん昔から日本人の年中行事になっていました。いったい何時から始まったのか「お年玉付き年賀はがき」の始まりを探ってみましょう。
一番最初に発売が始まったのは1949年(昭和24年)巳年の12月1日です。
太平洋戦争終戦からまだ4年しかたっていないこの年は、いまだGHQの支配下にあり100%自立していない状態だったのですが、京都在住の林正治氏という方が、国民の復興を願い賞品の当たるくじ付きの年賀はがきを考案し、当時の郵政省に自作のはがき見本や宣伝ポスターを作って提案したのです。
これが爆発的なヒットとなり日本の年中行事として定着しました。
年賀はがきといえば干支ですが・・・
年末が近くなると来年は何年?と気になるくらい干支は日本人にとって身近なものですが、「年賀はがき」と干支はどのように結びついたのでしょうか?
そのルーツは自分の生まれ年を十二支で表すくらい干支が密着している日本の文化に期限を見ることができるでしょう。
そもそも十二支は6世紀に朝鮮半島から輸入され、大化の改新のころには実用化されているくらい古くから日本人の生活に密着した文化です。
江戸時代にはあの有名な丙午生まれの八百屋お七という話があるくらい生まれ年を干支で表す習慣が当たり前になっていました。
このように身近な新年のシンボルとしての干支の図案は明治期の年賀状にも使われており、戦後に新しくできた「お年玉付き年賀はがき」の裏面のデザインにも自然に使用されるようになりました。
ただ、切手部分のデザインとして使用されることはあまりなく、2002年(平成14年)の馬の顔から頻繁に使われるようになりました。それ以前は、鶴、松、竹、梅などのめでたい図案がモチーフとなっていて干支が使われることは無く、唯一使われたのは1975年(昭和50年)のウサギだけのようです。
気になるのは来年の「お年玉付き年賀はがき」!
どうでしょうか?日本人と年賀状と干支の深い結びつきが見えてきましたね、そこで気になるのが来年の「お年玉付き年賀はがき」です。
やはり期待してしまうのが人間というもので、12年越しの羊の編み物、家族が増えたサル、となると来年の干支の酉はどんなストーリーが出てくるのでしょうか?それとも新展開に飛躍するのでしょうか?
2005年(平成17年)の年賀はがきのイラストは初鶏と呼ばれるニワトリが「NIPPON」と鳴いているイラストが描かれています。
すでに親鳥なのでこの後の展開が予測しずらいようで、ネットでも「ローストチキンになってしまうのか?」というようなブラックな予想が出ていますが、時期が早いようでパロディもまだ出てきていません。
話題の年賀はがきはデザイナーが同じ人!
今まで話題になった「お年玉付き年賀はがき」の「羊の編み物」「サルの親子」は日本郵便株式会社の切手デザイン室に所属している日本で唯一7人しかいない切手デザイナーの「星山理佳(ほしやまあやか)」さんが手がけた作品です。
2年連続で話題を提供していただきましたので、今後も感動のストーリーを期待してしまいますが、まんざら根拠がないわけでもないのです。
2005年(平成17年)「お年玉付き年賀はがき」のニワトリのデザインも星山さんの作品で、干支を切手部分のモチーフに使い始めたころの初期の作品でもあるのです。
こうなってくると否が応でも期待が高まってしまいますね。日本郵便株式会社さん!よろしくお願いします!
まとめ
いかがでしたか?切手のデザインをたった7名で作っているとはびっくりですが、デザインのコンセプトやテーマを前面に打ち出さず、こっそり送り出してくるとは日本郵便株式会社もなかなか遊び心がありますよね。
12年前の年賀はがきのデザインなんてほとんどの人が忘れている中で、切手というあの小さな部分に、さりげなくほのぼのしたストーリーを載せてくるところが多くの日本人に受け入れられたのでしょう。
小さな子供からお年寄りまで楽しませてくれる「お年玉付き年賀はがき」を今年も期待しています!
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