日本のお正月をしっかり学べる!文化や慣習がテーマの絵本
お正月を迎える準備は年の瀬からはじまりますが、日本の伝統的なお正月にまつわる慣習や行事を正しく知っている大人はそれほど多くないのかもしれません。地域差などはあるものの、古き良きお正月の伝統文化を楽しい絵や文章で学ぶことができる絵本を紹介します!これを機に今年のお正月準備を計画するのもよいかもしれませんね。
1.「あけましておめでとう」(童心社) 作:中川ひろたか 絵:村上康成
お正月の文化や伝統について、シンプルな文章と可愛いイラストで展開する絵本です。素朴で親しみやすいイラストがとても楽しく、ビジュアル面から日本のお正月を体感できることでも非常に評価が高い一冊です。短くリズミカルな文章なので、字を覚えたての子どもがひとりで音読するのにも最適ですね。
2.「くまのこのとしこし」(講談社) 作・絵:高橋和枝
くまの家族の年越しとお正月を描く、心温まる楽しい絵本です。もうすぐやってくる「来年」ってどんなものなんだろう?とワクワクドキドキしながらくまのこはお正月を楽しみに待ちます。大人たちが忙しく準備をする年越し、くまのこを通して子どもの目線に立つことができるので、読んでいる大人もほっこりすることができます。可愛いイラストも印象的なおすすめの一冊です。
3.「もうすぐおしょうがつ」(福音館書店) 作・絵 西村繁男
こちらも年越しからお正月までの家族の様子をじっくりと描いた絵本です。離れて暮らす祖父母の家に帰省するところから物語はスタートし、年末の大掃除やお餅つき、お正月の飾りやおせち料理のための買い出し、年越しそばなど、とても丁寧に日本の伝統的な慣習や文化について触れています。イラストも非常に細かく描かれており、慌ただしく準備する大人たちの様子やにぎわいをみせる年末の街の様子など、絵を眺めるだけでも十分楽しめます。親子でたくさんお話をしながら盛り上がって読める一冊です。
4.「おしょうがつおめでとうはじまりの日!」(文渓堂) 作:ますだゆうこ 絵:たちもとみちこ
シンプルで伝わりやすい文章に定評のある ますだゆうこ氏と、コラージュを用いた味わい深いイラストで人気の たちもとみちこ氏のタッグによる「行事絵本シリーズ」のお正月バージョンが「おしょうがつおめでとうはじまりの日!」です。飼い猫のみ~みの目線から、年末~お正月の三が日にかけての家族の様子が描かれており、季節の行事について楽しく学ぶことができる絵本となっています。「なぜおせち料理を食べるのか」や「お正月の遊びの凧あげにはどんな意味があるのか」など、それぞれの慣習には「まめ知識」がついているので大人が読んでもためになりそうですね。
5.「おめでとう おひさま」(小学館) 作:中川ひろたか 絵:片山健
山や海から顔を出すおひさまと、さまざまな生き物たちが新年の抱負をお話しする物語です。地上の全てを照らすおひさまの暖かいパワーが生き物たちをしあわせに導いているのでしょう。生き物たちは「なるべく~しない」「なるべく~する」とユル~く新年の抱負を語り、おひさまも「なるべくっていうのがいいね、わたしもなるべく顔を出すようにしようね」と答えます。
新年や新学期にむけて「~ができるようにする」などと目標を立てる際には気負いがちですが、「できることからやってみよう」「できるだけでいいんだよ」と子どもたちに肩の力をぬくことの大切さを教えてくれるような絵本です。とっても前向きでほんわかとした気分になれる一冊、普段忙しくしている大人の方にもおすすめですよ。
干支の動物たちをテーマにした絵本は楽しくてワクワクするものばかり!
そもそも「十二支」はなぜあの動物たちに決まったのでしょう?干支にまつわる物語を中心に、それぞれの動物たちに焦点をあてたものから、出先などで便利なスマホ用の絵本アプリまで、さまざまな本をご紹介します!「十二支」に興味を持ちはじめる小さい子どもから、年賀状のアイディアが欲しい大人までみんなが楽しめる絵本をチョイスしました。
6.「干支セトラ絵本シリーズ」(クレヨンハウス) 作・絵 五味太郎
クレヨンハウス公式サイト「干支セトラ絵本⑫ わかりますとも!」
絵本界の巨匠ともいうべき五味太郎氏の「干支セトラ絵本シリーズ」は、全12冊。1冊ずつそれぞれの干支にスポットをあてて、五味太郎氏の独特のセンスと文章、そしてお馴染みのイラストで干支動物の物語が展開します。干支動物ごとに、そのキャラクターの特徴やクセなどを面白おかしく表現。自分の干支はもちろん、家族の干支の本も親子で読むととても盛り上がって楽しめそうです。読み始めるとついつい他の干支も気になって、気がついたら全巻揃えてしまっているかもしれませんね。
7.「十二支のはじまり」(小学館) 作:やまちかずひろ 絵:荒井良二
十二支のはじまりやその裏話をテーマにした絵本はとても多くありますが、この絵本の特徴は、とても穏やかであることです。よく知られる十二支の起源といえば、ネズミのずる賢さやネコとの関係悪化のルーツなど、なんとなくギスギスした一面が描かれがちです。しかし、この絵本ではその題材をベースにしつつも、誰も傷つかない、とても優しくほんわかとしたイメージの物語に仕上げられています。ネズミが一番乗りだった本当の理由、ネコの愛すべきキャラクターなど、小さな子どもが一番最初にふれる干支の物語にふさわしい一冊です。
8.「じゅうにしのおはなし」(がっけんのえほんやさん) 作:はやしあやこ 絵:さこうしんじ
おでかけ先や病院の待合室などで、子どもが退屈してグズリだしたりと困った経験があるママさんも多いのではないでしょうか?お気に入りのおもちゃや絵本などを持ち歩くのは、ただでさえ荷物の多いママにとっては無理というもの。そんなときに便利なのがスマホやタブレットでいくらでも絵本を読むことができるデジタル絵本アプリです。
この「じゅうにしのおはなし」は、可愛いイラストで表現された動物たちの躍動的な動きと声優による読み聞かせで、グイグイと十二支の物語に引きこんでくれます。年末の忙しい時期、どうしてもじっくりとかまってあげられないときなどに大活躍しそうなツールです。
お正月いちばんのお楽しみ!おせち料理やお餅をテーマにした絵本
普段と違って特別づくしのお正月。そのなかでも特にみんなのお楽しみなのが、豪華なお正月料理の数々です。もともとお正月のお料理はお家にお招きする歳神さまに捧げるものです。新年を祝い、家族の健康やしあわせを願ってみんなでいただくお正月の食べ物について、子どもが楽しんで学ぶことができる絵本を紹介します。
9.「おせちのけんか」(森のえほん館)作:森のえほん館編集部 文:蒼樹里緒 絵:マォ
こちらも先でご紹介した絵本読み放題のアプリです。お正月に食卓を彩る豪華なおせち料理。しかしその食材は子どもに馴染みのないものが多かったりします。「飽食の時代」といわれ、大晦日まで営業して元旦から新春セールをするスーパーマーケットが当たり前の現代において、おせち料理の調理方法や本来の意味、位置づけなどは私たち大人でも意識することが少なくなってきているのが現状です。しかしせっかくお正月におせち料理をいただくのであれば、子どもたちにその食材を使う意味や由来などをきちんと説明してあげたいですよね。「おせちのけんか」は、おせち料理の食材たちがコミカルにおしゃべりしながら展開する物語で、デジタル絵本アプリならではの効果音やポップな音楽が斬新な絵本です。日本の伝統文化を楽しく学ぶことができる、お正月にぴったりのツールです。
10.「おもちのきもち」(講談社) 作・絵 かがくいひろし
大ヒットシリーズ「だるまさん(が)(の)(を)」など、独特のタッチのイラストやコミカルなフレーズが子どもの心をとらえて離さない人気の絵本作家かがくいひろし氏。そんな彼のデビュー作は、お正月のお餅をテーマにした「おもちのきもち」です。これまでになかった「おもち目線」でのストーリーに、親子でおもいっきり笑えること間違いなしです。考えてみれば、ペッタンペッタン叩かれまくり、のばされて、ちぎられて、食べられてしまうお正月のお餅たち。他のお餅の様子をみていて怖くなって逃げだしてしまう鏡餅の姿がなんともおかしく、その奇想天外な世界観にどっぷりハマってしまいます。お正月から初笑いでしあわせな年を迎えられそうな一冊です。
【番外編】いろいろな角度から日本のお正月を考えられる絵本
海外のお正月をテーマにしたものや日本の伝統芸能・落語を題材にしたものなど、おせち料理や十二支だけでなく、違う角度からお正月を感じられるおすすめ絵本をご紹介します。
11.「ソルビム お正月の晴れ着」(らんか社) 作・絵 ペ・ヒョンジュ 訳:ピョン・キジャ
私たちのお隣の国、韓国でもお正月はとっても特別な日です。お正月には、身につけるものすべてを新調する習慣があり、女の子は真新しい晴れ着「ソルビム」を着られるのをワクワクしながら心待ちにしています。祖母から母、そして母から娘へ贈られる愛情のこもった伝統文化「ソルビム」が本当に美しく描かれている絵本で、インテリアとしてお部屋に飾っている人もいるようです。日本に一番近い外国のお正月文化を親子で学ぶよい機会となりそうですね。
12.「落語絵本3 はつてんじん」(クレヨンハウス) 作・絵 川端誠
古典落語の有名な演目「初天神」を楽しく躍動的なイラストとともに子どもでも楽しめるようにアレンジしたのが「落語絵本3 はつてんじん」。学問の神様として知られる菅原道真を祀った天満宮にて、毎年1月25日に行われるお祭り「初天神」にでかける父子が主人公の物語となっており、新年そうそうの天神さまのにぎわいと親子のコミカルな会話がとても愉快で、はじめて落語にふれる子どもでも楽しく読める一冊です。「初もの」という観点から新年や日本の伝統芸能を感じるのもよいかもしれませんね。
親子で楽しい時間を共有できる「読み聞かせ」
忙しい年末は特に子どもたちにかまってあげる時間をとりにくいものではありますが、子どもたちにとって両親や祖父母に読んでもらった絵本の思い出は大きく心に残ります。お正月を迎える準備だけでなく、それらがどのような意味をもつのか、どうして大切なのかを楽しく語り継ぐツールとしてとっておきの絵本をチョイスしてみませんか。きっとかけがえのない素敵な時間を親子で共有することができるはずです。