年賀状に使われる干支の由来は?その8番目、未についてお話します
年賀状やカレンダーで目にする干支。会話の中でも年齢を聞かれる際に「何どし生まれ?」とたずねられることもありますね。干支は私達にとって身近なもので、当たり前のように使っていますが、その由来についてご存知でしょうか?
【未】未(ビ)の月は6月で、方角は南南西。時刻は午後1時から午後3時を示します。陰陽道においては未申(ひつじさる)の方位は裏鬼門です。十二支の8番目で、動物は【羊】があてはめられました。群れを作って生活するところから平穏な家庭、穏やかな性格から平和のシンボルとされています。薬師如来の十二神将では、未の守護神はアニラ大将。
現代の私達は、12匹の身近な動物があてはめられたものを干支として使っていますが、子年からはじまる12の干支は植物の発達を表したものだという説もあります。つまり、1番目の【子】が種子で、12番目の【亥】で実を結ぶという成長の過程を示しているのです。8番目の【未】という漢字を見ると、木の幹から枝が伸びているように見えます。枝は伸びているが、葉はまだ茂っていない。そんな成長途中の植物を表すのが未です。つまり未熟の未であり、ちょうど葉が茂ろうとする時期の6月を表します。
羊と人との関係
羊
フワフワとした毛に覆われた愛くるしい姿の羊は緬羊と呼ばれ、山羊とともに古くから人に飼われてきました。その長い毛は強度があり、繊維として優れています。古来から人は羊の毛を衣服や絨毯などに加工し、寒さをしのいできました。その他、肉はもちろん、乳を飲用やチーズなどの乳製品に変えて食料として摂取してきた歴史があります。
性格はとても臆病でのんびりやさんです。群れる習性があり、放牧して飼育するのに適した動物と言えるでしょう。草食で、消化力が強く、様々な草を食べる事ができます。広い草食範囲があれば、餌には困りません。
聖獣 羊
古来中国では神への犠牲(いけにえ)として牛、羊、豚を捧げました。羊は神への贈り物にふさわしい、神聖な獣とされていたのです。『羊の群れ』の群という文字には「君」と「羊」が含まれます。「君」は王を示しますので王の羊という貴い意味となり、さらなる発展という吉祥の象徴となりました。羊は聖獣であり、縁起の良い動物なのですね。
羊社会ではメスが強い
羊が群れるのはご存知かと思います。人に飼われている羊の場合、その群れでは一番年上のメスがリーダーの座につきます(野生の羊のリーダーはオス)。子羊は、群れで移動する際や、何かに驚いた時には、自分の母親のそばに行くそうです。母であるメスが頼りにされている事が分かりますね。
一番年上のメスは経験が豊富で、何度も出産していますから母性が強いです。それゆえ、リーダーとして群れ全体をまとめることができるのでしょう。ちなみに、羊社会ではリーダーのメスが亡くなると、その長女がリーダーを引き継ぐという世襲制をとっています。
羊の群れを見る時は、ちょっと違う目線で見てみると興味深い発見があるかも知れませんね。
未年生まれの偉人達
未年生まれの偉人達をご紹介しましょう。
可愛らしい羊をイメージする未年ですが、未年生まれの偉人を振り返ると大きな功績を残し、特別に有名な方が多いようです。
- 『吉田兼好(よしだけんこう)』
徒然なるままに~のフレーズが有名すぎる「徒然草」を書いた人物です。1283年未年生まれ。
- 『荒木村重(あらきむらしげ)』
戦国時代の大物武将。当時、権勢を誇った織田信長に謀反を起こしました。後、茶人として高名になります。1535年未年生まれ。
- 『柳生宗矩(やぎゅうむねのり)』
柳生新陰流の祖であり、剣豪。剣の腕で大名にまで登り詰めました。1571年未年生まれ。
- 『勝海舟(かつかいしゅう)』
幕末から明治にかけての幕臣。江戸城無血開城や日本海軍を作るなど、歴史を大きく変えた人物。1823年未年生まれ。
- 『坂本龍馬(さかもとりょうま)』
幕末の英雄。海援隊を作り、大政奉還を成し遂げた。1835年未年生まれ。
- 『土方歳三(ひじかたとしぞう)』
新選組副長。規律を重んじ、鬼の副長と呼ばれた豪傑。1835年未年生まれ。
いかがですか?特に明治維新に絡む重要人物が多いのは驚きですね。未年生まれの方は決断力や実行力に優れているのでしょうか。次項からは未年生まれの基本的な性格や適性を分析してみましょう。
未年生まれの性格と特徴
基本
思いやりにあふれた優しい性格で、相手を包みこむようなふんわりとした空気を作り出す事ができます。のんびりとした癒し系ですね。協調性があり、家族や友人、仲間を大事にします。
ギャンブルなどの派手な遊びを嫌い、アウトドアや仲間内のパーティーなどで社交性を発揮します。
日常生活の変化や大事を嫌い、そのような一件にはまきこまれたくない、平穏無事に過ごしたいと常に思っています。やや押しに弱いところがあるので、自分の主張を我慢してしまいがちです。一見、優柔不断でのんびりしているようですが、芯は強く目標に向かってコツコツ努力するタイプ。
一旦やる気になれば大胆で真剣。それが未年生まれの人達です。
仕事
人の提案を受け入れつつ妥協案を出し、戦わない、賢く立ち回れるのが特徴です。その一方で、自分から提案をする事はあまりありません。真面目に仕事に取組み、正確を究めます。そのため、重要なパートを任せられる事が多いでしょう。出世欲がなく、対立するライバルには簡単に座を譲ります。
仕事をうまくやるより、仲間とうまくやっていきたいというのが本音というところでしょうか。
ところが、未年生まれが目標を持つと強いです!ひたむきに前進し、トップの座に向かうでしょう。
適性
ファッションセンスが良く、芸術的感覚が優れています。デザイナーやクリエイティブなお仕事が向くでしょう。芸術家気質ですね。高いレベルの才能を持っていますので、あとは世に出るだけです。
積極的に自分をアピールしましょう。可能性は無限に広がります!!
未年と他の干支との男女の相性を見てみましょう!
良縁といわれる相性は?
運命盤において、未年と特に相性が良いとされる干支をお伝えします。
未年【男性】の場合
丑年
運命盤における『向かい干支(一生の宿命的な絆)』のお相手です。羊も牛も同じ草食同士。一見するとひたすら草を食べ、発展しなそうに見えますね。しかし、一生影響しあうという宿命をもった二人なのです。
代表的なカップルは未年生まれ『坂本龍馬』と、その妻の丑年生まれ『お竜(おりょう)』です。龍馬は鼻っ柱の強いお竜に、お竜は豪胆な龍馬に、お互い強く惹かれあいました。二人の仲はとても良かったそうです。ラブラブというわけですね。
宿命が強すぎる未年、丑年の二人ですから、片方の死は相方の事実上の死も示します。しかし、お竜は龍馬が亡くなった後に再婚しています。これはお竜が、自分の胸の中で龍馬をずっと守り、龍馬への愛を封印したからと言われています。再婚後は龍馬の話は一切口に出さなかったそうです。
辰年
運命盤における『曲がり干支(強固な師弟関係』のお相手です。師弟関係でも宿命づけられた相手と出会えるのが未年生まれの人の特徴です。師匠、教え子、先輩、後輩、恋人など、師弟関係にある相手とはかなり強い結びつきをもち、大成功をおさめます。
特に女性が辰年で未年男性に師事している、もしくは兄のように慕っている場合、もはや運命ともいえるピッタリの相性となります。未年男性、辰年女性、共に努力家なので、お互いに力を合わせ未来を明るく照らすでしょう。
未年【女性】の場合
戌年
運命盤における『曲がり干支(強固な師弟関係)』のお相手。気がついたら言う事を聞いてた、ふと見たら隣にいた、そんな関係が戌年男性です。戌年男性は未年女性に強い憧れを抱きます。ところが未年女性はそれに気がつかない・・・だから戌年男性は、いつも一緒にいて自身の存在をアピールしてきます。このように、戌年男性の猛アタックで交際が始まる場合が多いようです。
師弟関係においては、未年女性が師匠にあたります。特に創作分野においては、芸術的感覚に優れた未年女性に学んで、戌年男性も能力を開花させることができるでしょう。未年女性の余裕が戌年男性をリードします。
注意した方が良い相性
寅年
未年生まれの方は男女共に『寅年』生まれの方と、相性がよろしくないようです。カップルの場合、最初はものすごい勢いで盛り上がりますが、盛り上がりすぎてパンクしてしまうでしょう。未年、寅年、共に我が強い一面がありますので、衝突は避けられないと言ったところでしょうか。寅年の方と良い関係を築きたいと思ったら相手の気持ちを尊重すると良いでしょう。そうすれば、強い2人の運勢を維持したまま、もめごとなしの関係が作れるはずです。
海外での干支の評価って?
日本の干支は海外でも知られているのでしょうか?
海外にも干支はあり、その国によって十二支の動物が変わったりします。例えば、モンゴルでは虎年が豹年になったりもします。干支の起源は中国ですが、そこから世界各地に伝わり発展してきました。私達と同じように干支は、占いやコミュニケーションツールとしても使われています。
そして、私達が海外の干支に興味があるのと同じように、海外の方も日本の干支をよく知りたいと思っているようです。海外のSNSで話題になったのは、2015年(未年)の日本の年賀はがきでしょう。
2003年(未年)の年賀はがきでは、表面にある切手印に編み物をしている羊の絵が描かれていました。それが、12年後の2015年の年賀状ではマフラーを巻いた羊の絵に変わっています。12年かけてマフラーを編んでいたというストーリー性があるんですね。また、その下にある『年賀』の文字デザインも2003年は毛糸玉が描かれていますが、2015年では毛糸玉を使い果たし、編み棒と1本の毛糸のみとなっています。この仕掛けが秘密のデザインとして、海外でもネット上で多く語られました。
他にも日本の干支の絵が可愛いくてきれいだと話題になる事は多く、日本の干支に対する海外からの関心の高さがうかがえますね。ちなみに7円分の切手を足す事で、海外へも年賀はがきを送る事ができます。7円足すだけで、日本の年賀はがきを世界中で受け取ってもらえるなんて素敵ですね。海外に住む日本の干支ファンにとっては、良い贈り物となるでしょう。
(7円は2023年現在の料金です)