飼いたいペットランキングで1・2位を争う「犬と猫」。
飼育数では犬が上位になっていますが、近年のブームで猫を飼う人が増え、逆転する勢いだそうです。2018年は戌年。主役の座を取り戻すべく、犬についてのさまざまな魅力をあらゆる角度から探ってみました。
目次
飼いたいペットのナンバーワンは犬から猫へ?
一般社団法人 ペットフード協会発表の平成28年度の「犬や猫の全国飼育頭数調査(一般社団法人 ペットフード協会発表)」によると、犬は987万8千頭、猫は984万7千頭で、ほぼ同数の犬と猫が飼われています。前年比べると猫の飼育頭数はほぼ横ばいですが、
犬は「医療費が高い」「散歩させるのが大変」「集合住宅のため飼えない」「一緒に旅行ができない」「犬と泊まれる宿施設が少ない」といった理由で減少傾向。
ペットとして猫が好まれているのは、旅行・宿泊が難しいという点では変わらないものの「大型種でもそれほど大きくならない」「屋内で飼うことができ、散歩は不要」「鳴き声がそれほど大きくないため、騒音になりにくい」など、「犬よりも飼いやすい」というメリットがあるからだといいます。
この結果を見ると、数年前は猫に100万頭以上の差を付けていた犬の飼育数減少傾向があるのには、人間の都合が大きく反映されているようです。犬にはそれを補ってあまりある能力や魅力をたくさん持つだけに、ちょっと理不尽な感じがしないでもありません。そこで犬ならではの魅力をご紹介していきたいと思います。
●おすすめ年賀状:ペットの代表ワンコとニャンコの仲良し年賀状
犬だけでなく、猫やほかの動物を絡めたイラストや写真を使った年賀状はいかがですか? 犬と猫のツーショットをはじめ、鳥や馬、羊、ヤギ、ウサギなどと一緒のカットで、ほのぼのとした雰囲気の年賀状ができますよ。
2018は戌年。人気奪還ののろしをあげる(!?)犬と猫7番勝負
昨今のブームで猫関連の商品が経済効果を生んでいることから、「ネコノミクス」という言葉が登場するほど猫人気が定着しています。猫の持つ愛らしさ、気まぐれで憎めない性格、神秘性は、確かに人を惹きつけることでしょう。
しかし、犬だって負けてはいません。可愛さや人懐っこい性格はもちろん、実は「猫にできないこと」をしたり、「猫にはないもの」をたくさん持っていたりするのです。
そんな犬の能力や魅力を見てみましょう。
その1:犬はそりを引いたが、猫は引かなかった?
世界中の寒い地方では移動にそりが使われています。そりを引く動物といえば、トナカイや馬、犬などが知られています。日本で有名なものは、第一次南極観測隊の犬ぞり隊でしょう。この時同行したそり犬15頭は、諸々の事情により南極に置き去りにされたのです。観測隊員たちにとっては断腸の思いだったことでしょう。
1年後、第三次観測隊が南極を訪れた際、彼らは信じられない光景を目にします。置いてきたそり犬のうち、タロとジロの2頭が生きていたのです。
このことは当時の日本人に深い感銘を与え、タロとジロの物語は書籍や映画(『南極物語』)、ドラマにもなっています。また、東京タワーには、15頭の犬の貢献を祈念し、日本動物愛護協会の手によってブロンズ群像が建てられました。
なおこの時、タロとジロたちと一緒に「たけし」という名の猫が同行しています。そりは引きませんでしたが、隊員たちにとても可愛がられたそうです。たけしは無事に帰国し、ある隊員に飼われることになりました。しかし、自宅に着いたその夜、たけしは姿を消してしまい、その後の消息はわかっていません。
残念ながら、探検など人の役に立つ場面で猫ぞりは使用されていないようです。ただ、北欧の愛猫家が趣味で猫ぞりを走らせたことはありますが……。
●おすすめ年賀状:元気にそりを引く樺太犬の年賀状
タロとジロのように、元気にそりを引く犬のモチーフは、友人や同僚へのカジュアルな年賀状にぴったり。そりの上に賀詞やメッセージを書いてもよいですね。
その2:警察官のアシストなら犬におまかせ
家や家畜の番をする、狩りのお伴をするなど、犬は昔から人々の暮らしに欠かせないパートナーでした。これらの役割をさらに進化させたのが、警察犬、補助犬、麻薬犬、軍用犬でしょう。犬の優れた能力は、特に警察犬、麻薬犬に活かされているといえます。
その理由は人間の百万倍~1億倍といわれる嗅覚にあります。微量な成分の嗅いをかぎ分けられることは、犯人追跡(逮捕)や証拠の収集、麻薬の発見にとても役立つからです。
一方の猫も、人間よりは嗅覚に優れていますが犬に勝つことはできません。また猫は「好きなこと、自分が楽しいことしかしない」傾向が強い動物です。そのため人間が指示をしてもなかなか言うことを聞いてくれません。
また犬は集団生活が基本の動物ですが、対する猫には親離れすると単独で暮らすという習性があります。そのため長く人間と一緒に働いてきた犬とは違い、気まぐれで我が道を行く猫にとって人間との仕事は難しいのでしょう。
ただし、海外では「警察猫」が採用されるケースもあるそうです。かつてロシアにはキャビア密輸の取り締まりをしていた猫がおり、イギリスの警察署でも警察猫を使っているといいます。イギリスの警察官によると、「猫は好奇心が強く、訓練すれば活躍できる可能性を持っている」とのこと。警察犬に慣れた日本人には、ちょっと想像しくにいですね。
●おすすめ年賀状:犬のお巡りさんなどワンコを擬人化したイラストや写真を使う
犬を擬人化した可愛いイラストや写真は定番のデザイン。
最近はコスプレなども人気を呼んでいます。愛犬をモデルに撮影するのもおすすめですが、嫌がるようなら無理強いしないようご注意ください。
その3:皇室に献上された猫の像はないが、犬の像はある?
渋谷駅前に建つ「忠犬ハチ公の像」の物語は誰もが知るところでしょう。
亡くなった主人を、それでも毎日迎えに行ったという、秋田犬ハチのけなげな姿は新聞に掲載され、当時の人々に深い感銘を与えました。1934年(昭和9年)には、渋谷駅前にハチの銅像が建てられることとなり、その除幕式にはハチも参列したそうです。
銅像は第二次大戦中に金属供出されてしまいましたが、戦後に再建。
二代目は今も渋谷駅のシンボルとして親しまれています。またハチのエピソードは、映画(『ハチ公物語』『HACHI 約束の犬』)や書籍などにもなりました。
なお、時の皇后・良子さま(後の香淳皇后)は、ハチの話にとても感銘を受けられたそうです。
それを知った銅像作者の安藤照氏は、銅像建立と同じ年、「忠犬ハチ公臥像」を昭和天皇、皇后、皇太后(貞明皇后)に献上しています。
生きている間に銅像が造られ、皇室にも供されるという話は人間の場合でもまず耳にしません。
それだけハチの行動が、身分や立場に関係なく人々の感動を誘ったということなのでしょう。
●おすすめ年賀状:ハチ公のイラストや銅像写真で年賀状作り
ハチ公像のイラストや写真を年賀状に使う人は少なくないようです。
同様のモチーフとして、愛犬を連れた「西郷隆盛像」も好まれています。絵心があるなら、ハチとそのご主人・上野英三郎教授を描いてみてはいかがでしょう。昭和のレトロな雰囲気で、ひと味違う年賀状ができそうです。
その4:江戸幕府の猫屋敷はなかったが犬屋敷はあった
日本史を学べば必ず登場する「生類憐みの令」は、1685年(貞享2年)に徳川五代将軍・綱吉が出した殺生を禁止する法律です。
動物をいじめたり、傷つけたりしたものには死罪・遠島などの重い刑罰が科されたため、「天下の悪法」といわれています。この法が生まれたのは、世継ぎができずに悩む綱吉が僧・隆光に相談した際、「子どもができないのは前世で殺生を犯した報い。
生き物、特に上様は戌年生まれだから、犬を大切にすれば子宝に恵まれる」と言われたとがきっかけだそうです。
そのため綱吉は1695年(元禄8)、中野に16万坪の土地を囲って野犬を収容。
最高時は4万頭以上になったといい、飼育費用は年間3万6000両にのぼりました。
江戸時代は換算相場の変動が多く、比べるものによって1両の価値は異なりますが、1両=およそ10万円として換算すると、3万6000両は36億円になります。
この施設は「中野の犬屋敷」「お囲い御用屋敷」とも呼ばれ、江戸町人や関東の村の大きな負担となってしまうのです。
行き過ぎた動物愛護に走った綱吉には「犬公方」というあだ名をつけられました。ただ、近年の研究によると、綱吉自身は勉強家の優秀な君主で、「生類憐みの令」は人も動物も平和に共存する社会を作るのが目的だったとも考えられています。
●おすすめ年賀状:桃と犬を組み合わせ、おめでたい雰囲気の定番年賀状
綱吉の死後、「中野の犬屋敷」は取り壊され、跡地には紅白の桃が植えられました。
それを命じたのは、暴れん坊将軍でおなじみの八代将軍・吉宗で、ここは江戸庶民の憩いの場となったとか。なお、桃は古代から魔除け、不老長寿の果物として知られています。犬と桃を組み合わせたイラストや写真は、新年を寿ぐ年賀状に最適です。
その5:消えた猫座と残った犬座
冬の夜空には、トレミーの48星座に数えられる「おおいぬ座」と「こいぬ座」、犬をかたどったふたつの星座が輝いています。
おおいぬ座には全天で一番明るい星・シリウス(-1.46等星)が、またこいぬ座にも1等星のプロキオンがあるため、天文に詳しくない人も比較的容易に見つけることができるでしょう。
なおシリウスとプロキオン、オリオン座の一等星ベテルギウスを結ぶと「冬の大三角形」となります。
かつてはうみへび座とポンプ座の間に「ねこ座」があったそうです。しかし、1928年、国際天文学連合で決められた「88の星座」に選ばれず、現在は使われていません。
●おすすめ年賀状:夜空の星座をモチーフにしてみよう
星図をもとにしたおおいぬ座、こいぬ座、冬の大三角形のイラストを使うと、ひと味違った雰囲気の年賀状ができそうです。
また天体写真が趣味なら、自分で撮った作品を使うのもおすすめ。
その6:狛犬の代わりに狛猫のいる寺社がある?
守護、魔除けのため、神社や寺院の入口の両脇、本殿・本堂の正面左右などにある狛犬ですが、もともとは仏像の前に2頭の獅子(ライオン)を置いたことが始まりだそうです。奈良時代まではこの組み合わせでしたが、平安時代になると「獅子」と「狛犬」のセットに変わります。
最初は犬に似ていた狛犬ですが、平安末期には獅子に近い形になったといいます。
なお口を開けているのが獅子、角のある口を閉じた方が狛犬です。
実はかなり少数ではありますが「狛猫」も存在します。
代表的なのは「丹後ちりめん発祥の地」丹後・峰山にある「金刀比羅神社(京都府)」です。ここは養蚕もさかんで、マユや蚕などを食い荒らし、農家に損害をもたらすネズミを駆除する猫は大切な存在でした。そのためこの神社には狛猫が鎮座し、今もネズミの被害を防いでいるのだそうです。
また、東京都立川市の「阿豆佐味天神社」にも狛猫がいます。奉納したのはジャズピアニスト・山下洋輔さんで、愛猫が行方不明になった際にこの神社で猫返しを祈願したところ、翌日に帰ってきたといいます。
●おすすめ年賀状:縁起の良い狛犬は年賀状に相応しいモチーフ
寺社を守護する狛犬は年賀状の定番モチーフのひとつです。
写実的なものからデフォルメしたものまで、さまざまな種類のイラストや写真がありますから、送る相手に応じて使い分けるといいでしょう。
その7:猫年はなくても戌年はある
犬と同様、古代から人と生活を共にしていた猫が、どうして十二支には選ばれなかったのでしょうか?
有名なものとして、神様が十二支の動物を決める時、猫はネズミから集まる日を一日遅く伝えられたために、間に合わず選ばれなかったという話があります。
一方、十二支に名を連ねた犬の方はというと、猿とケンカをしながら神様の元へと向かったそうです(「犬猿の仲」の由来ともいわれています)。
彼らを仲裁したのが酉(鶏)で、そのため申(猿)と戌(犬)の間に挟まれているのだといいます。
とはいえ猫が除外されたのに、架空の動物である龍が選ばれているのは、ちょっとかわいそうな気もします。
なお、ベトナムの十二支ではウサギの代わりに猫が選ばれています(日本の干支と違うのは、牛→水牛、ウサギ→猫、羊→ヤギ、猪→豚)。
●おすすめ年賀状:犬の絵だけでなく、「戌」の文字も使ってみましょう
年賀状を作る時、「イラストをセンスよく使うのが苦手」「どう組み合わせていいのかわからない」という人が少なくありません。
そういう場合は「戌」の文字をモチーフにしてはいかがでしょう。「凧の絵に戌の字を入れる」「筆文字で大きく戌の字を書く」といったシンプルなデザインなら失敗も少なく、見た目のよい年賀状になります。
まとめ~犬と猫、ライバルはもともと同じ生き物だった!?
2018年の干支である犬とそのライバルの猫をあらゆる点で比較してみると、彼らが長い歴史の中で、いかに日本人の生活と深くかかわってきたかがわかります。
飼育数1・2位を争うのも当然だといえるでしょう。
特に犬は人懐っこさや忠誠心といった点だけでなく、警察犬、補助犬などとして、公的な場面でも人の役に立っており、さまざま仕事現場になくてはならない存在となっています。
逆に猫の魅力はミステリアスな性格、人に対して一定の距離を保ち自由に生きているところでしょう。
このように性質や行動も正反対の犬と猫ですが、遡ればご先祖様はまったく同じだったのです。
それは6500万年前~約4000万年(新生代)前に生まれた「ミアキス」という動物。
ミアキスは現在のイヌ科やネコ科のみならず、イタチ科、クマ科といった食肉目の共通の祖先とされています。その後、イヌ科の動物は草原で狩りを行うようになり、ネコ科動物は森で暮らしたため、両者は分かれていったとされています。犬と猫のルーツが同じというのには驚きですね。
二大ペットの人気はまだ続きそうですが、2018年は戌年だけに、犬の人気回復を密かに期待する愛犬家も少なくないのでは!?