年賀状に限らず、宛名や連名の書き方は非常に気を遣うものです。相手に失礼にならないようにと色々書き足した結果、逆におかしな表記になってしまったり、PCの宛名印刷ソフトを過信して、致命的なミスをしてしまったり。そんな経験はありませんか?
このような事態を避けるためにも、送り先に合わせて宛名や連名の書き方をどのように使い分けるのかを覚えておくと良いでしょう。ここだけ注意しておけば、今年は安心して年賀状を出せる!というポイントをご紹介していきます。
目次
まずは宛名書きの基本から
まず、宛名書きにはいくつかのルールがあります。最初におさえておきたいルールは、役職や敬称などの表記の仕方と、住所や宛名の大きさや位置関係です。また、宛名を連名で表記する場合も注意が必要です。ここから順に紹介していきましょう。
宛名書きの基本その1(役職や敬称などの文字の使い方)
「御中」と「様」は同時使用NG!
会社や団体に送る場合、「御中」と「様」は同時には使用してはいけません。悪い例は、「○○会社△△部御中 □□様」で、会社の個人宛に送る際は「御中」は不要です。
また会社や団体宛の場合は「○○株式会社御中」が正しく、「○○株式会社様」は間違いとなります。
「○○部長様」は間違いです!
次に、役職については、名前の下に付けるのではなく、役職、名前、敬称の順番が正しい書き方です。つまり、「○○部長様」は間違いで、「部長 ○○様」や、「代表取締役 ○○様」が正しい書き方となります。
このほか、学校や先生宛の場合、「先生」は敬称で、「校長」「教頭」は役職ですので注意しましょう。具体的には「校長 ○○様」となり、「先生」は敬称に当たりますので「○○先生」が正しい書き方となります。
連名表記では全員に「様」を付ける
宛名が2人以上の場合でも必ず全員に「様」を付けます。連名が小さいお子様の場合は「君」「ちゃん」でも失礼にはあたりません。
ただし小さいお子様個人にはがきを送られる場合は、保護者の名前に「様方」を付け、その左に段を下げて名前を書き「君」「ちゃん」を付けるとよいでしょう。
宛名書きの基本その2(行の位置や文字の大きさ)
宛名書きで大切なのは敬称だけではありません。住所や名前の位置は、はがきの表面を美しく見せ、印象を左右する重要なポイントです。
例えば、名前より住所の文字が大きい場合、これはたいへん失礼な書き方になってしまいます。全体のバランスを考えましょう。
次に、縦書きか横書きかという問題については、日本の正式なマナーから言えば縦書きが正しく、はがきの場合は特に縦書き用にデザインされていますので無理に横書きにしないほうが良いでしょう。
それでは具体的な書き方について宛名(名前)と あて先(住所)の二つに分けて説明しますので、しっかり覚えてくださいね!
①宛名(名前)の位置と文字の大きさについて
手書きの場合は郵便番号、宛名、住所の順に書くのが基本で、はがきの中心にしっかりと宛名を書くようにしましょう。
具体的に中心となる位置は、郵便番号を書くマスの位置でとらえます。見た目の中心になる位置は実際のはがきの真ん中とは違ってやや左寄りで、郵便番号枠の左から1つ目と2つ目のマスの間がちょうどよい位置となります。
続いて書き出しとなる位置です。切手の下あたりから書き出すと住所とのバランスもとれておさまりが良くなります。
連名が2人の場合はそのまま左へ並べて書いてもバランスが取れます。3人以上の場合はセンターをやや右にずらすか、御一同様のようにまとめて書き表すとスッキリするでしょう。尚、ご家族の連名は下の名前だけを並べて書き、それぞれに敬称を付けましょう。
文字の大きさは郵便番号枠2つ分よりも少し小さめに書くとバランスがとりやすくなります。大きく書きすぎないように注意しましょう。
名前の上に肩書を付ける場合は、次にご紹介します住所と同じ高さ(郵便番号枠のすぐ下に1文字分開けて)から書きはじめ、文字の大きさも住所と同じにそろえて、名前の部分から大きめの文字を書くようにしましょう。
②あて先(住所)の位置と文字の大きさについて
続いて、あて先(住所)の位置と文字の大きさについて見てみましょう。
あて先の書き出しの横位置は、住所の文字数が少ない場合は郵便番号枠の右から2つ目のマスの位置から、縦の位置は郵便番号枠のすぐ下に1文字分開けてから書き出すとバランスが取れます。
文字の大きさは、字数が少ない場合は名前の7割くらいの大きさで書き、あて先の文字数が多い場合は縦位置を少し右にずらし、文字の大きさも名前の5~6割程度の大きさで書くとバランスが取れます。
改行する場合は番地までの基本住所で折り返し、頭に2文字分の空白を入れてから次の行を書き出すとスッキリします。
その他、年賀状に限らず住所は都道府県名からきちんと書きましょう。省略するのは失礼にあたりますので、友人や身内の場合などにとどめておきましょう。
宛名書きの基本その3(差出人の書き方)
最後に、差出人の書き方です。縦の書き出し位置は、はがきの半分よりやや上からで、切手の位置を真ん中に見立ててバランスを取りましょう。文字の大きさや名前の位置などは、宛名やあて先と同じ考え方で書くとよいです。
名前は大きめ、住所は小さめの文字を使い、はがき全体を見て右端のスペースと同じくらいの空間が左端にできるようバランスをとるとちょうどおさまりが良くなります。
年賀状の場合、文字数が多くなる場合は、デザイン面に差出人を書いても問題ありませんので、書くスペースはバランスを見て工夫しましょう。
年賀状の場合、特に気を付けることは?
年賀状は一般の手紙やビジネスレターと違って、新年のお祝いと旧年のお礼を兼ねた大切なご挨拶です。基本プラスアルファとして年賀状に必要な配慮を項目別にまとめてみましたので是非チェックしてください!
宛名を書く際の配慮
・ご家族やご夫婦の場合
宛名に関してまず気になるのが連名です。
相手がご家族又はご夫婦の場合は、女性同士のお付き合いでも、夫、妻、又は夫、妻、子供の順に書くのが正しいです。ただし特に仲の良い相手の場合なら個人名単独でも問題ありません。
その他に相手先のお父さんやお母さんも含めて連名に書きたい場合は、世帯主の順番に書くのが正式で、父が世帯主の場合は父、母、夫、妻、子供となり、夫が世帯主の場合は夫、妻、子供、父、母となります。
これは、あくまでも順番を付けるならこのような順番になるということで、通常は世帯別に分けて、父母に1通、夫妻用に1通とするのが常識的ですので注意しましょう。
・取引先や学校及び団体宛の場合
宛名を書く際の配慮で取引先などに送る年賀状の場合は、連名で出すことは非常に失礼になりますので、必ず個人個人に1通ずつ出すようにしましょう。社長や部長のお名前の横に「ご一同様」とつけるのも失礼に当たります。
その際は社長や部門長とは別にその部署ご一同様宛の年賀状をもう1通用意しましょう。
・あて名シールはNG!
年賀状の宛名書きに関するその他の注意点として、お店からの年賀状などに貼ってある宛名シールは個人では使わないほうが良いでしょう。
「親しき中にも礼儀あり」で、シールを印刷できるプリンターがあるのであれば年賀はがきに直接印刷することをおすすめします。シールが宛名では、いただいた方もあまり良い気持ちはしないでしょう。
また、住所の記載に関して年賀状の基本は縦書きなので漢数字を使いますが、部屋番号や番地が解かりづらく見える場合は漢数字にこだわらず見やすい数字を記載しましょう。相手にしっかり届くことが大切です。
差出人を書く際の注意
宛名やあて先に続いて気を付けなければならないのが差出人の書き方です。相手にこちらのことを分かりやすく伝えなければなりませんので、省略しすぎに注意しましょう。
書く場所については、先ほども述べましたが、宛名面でもデザイン面でも特に問題はありません。連名が多かったり、色々書きこみたい場合はむしろデザイン面のほうが相手にとっても見やすいので良い配慮となります。
結婚などで姓が変わった場合は?
結婚などで姓が変わった場合は名前の下に(旧姓○○)とつけると受け取る側がわかりやすくなります。相手への配慮ですから旧姓を付けなければならない期間は決まっていませんので、結婚数年後でも自己判断で記載して問題ありません。
また子供の名前の下に年齢を入れる場合も、乳幼児は月齢で、小学校入学前は年齢で、その後は学年を記載するのが一般的ですが、特にルールはありませんのでわかりやすく書いてあれば問題ありません。ちなみにお年寄りの長寿もおめでたいことですので名前の下に(御年○○歳)や米寿などの記載を追加してもよいでしょう。
その他には、引っ越しをした場合は簡単なご挨拶を、子供が生まれた場合は名前にふりがなをつけてわかりやすくしておくことも大切です。
はがきの種類は?
年賀で使うはがきは、「お年玉付き年賀はがき」が一般的ですが、これは終戦後にブームとなった習慣で、以前は通常の官製はがきや、自作のはがきを使用していましたので、特にどのはがきを使用しても失礼にはあたりません。切手部分の下に朱書きで「年賀」と記載すれば年賀状として扱ってもらえますので心配はありません。
ただ、「お年玉付き年賀はがき」の景品が当たっているかどうかを調べるのをお正月の楽しみとしている方も多いので、できれば「お年玉付き年賀はがき」を使用するのがよいでしょう。
いかがでしたか?
一言で「宛名書き」と言っても結構気を遣わなくてはならないことが多いですね。
特に年賀状ともなれば、1年に1回ということもあって良くも悪くも非常に印象強く相手に伝わってしまいます。しかし、基本は相手への配慮ですので、簡単に省略したり、ずうずうしくしたりしなければ気持ちは相手に伝わるものです。
心を込めて作った年賀状は、きっと相手も喜んでくれるはずです。宛名書きも誠意をもって頑張ってくださいね。喜ばれてこその年賀状ですよ!
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