近年は、台風や豪雨などの自然災害が多いですね。「被災された方に年賀状を送りたいけど、書き方が分からず困っている…」「でも今年だけ出さないのもよそよそしいし、さみしい気がする…」そんなお悩みを抱えている方もいらっしゃると思います。
今回は、災害だけでなく闘病中、怪我、事故、入院中など、配慮のある言葉でご挨拶をしたい相手に贈る年賀状のマナーや文例をご紹介します。また闘病中の家族がいる場合、どのような年賀状を書けば良いのかも考えてみたいと思います。
目次
これで安心!年賀状の基本マナー
年賀状は、年始の挨拶状として相手の一年の幸せを願い贈るものです。このような「おめでたい」趣旨である年賀状では、相手の方に失礼にならないようマナーがたいへん重要になります。どのような文面が失礼にあたるのか、「NGワード」をおさえておけば、安心して送ることができます。
まずは通常の年賀状マナーからおさえていきましょう。
通常の年賀状マナー「賀詞・添え書き・年号を入れる」
賀詞
お祝いの言葉です。
- 目上の方には漢字1文字や2文字の言葉を使わないこと
- 大きめに書くこと
- 災害に遭われた方や病気・怪我などがあった方宛の場合、別の言葉に置き換える
(置き換えの例文はこのあとご紹介します)
添え書き
挨拶文のことです。
- 「、」「。」などの句読点を使わないこと
(「新年の挨拶で切れる」というマイナスイメージになってしまうため) - 賀詞より小さく書くこと
年号
「元旦」の使用方法に注意する
(元旦とは一月一日の朝のこと。「一月 元旦」「一月一日 元旦」などは間違いです)
正しい使用例
- 令和○○年一月一日
- 202×年 元日
年賀状のNGワード
結婚式でのスピーチなどでも、避けなければいけない言葉がありますよね。どんな場面でも失礼となる「忌み語」は、年賀状にも絶対に含めないようにしましょう。
- 去る
- 失う
- 滅びる
- 別れる
- 終わる など
終わり、別れ、死を連想する「漢字」が含まれていないかを確認しましょう。
以下はよくあるミスです。注意しましょう。
OK: 昨年 旧年
NG: 去年 (「去る」という字が入っているため)
お祝いの言葉(賀詞)を使わない年賀状を送ろう
ここからは災害に遭われた方や病気・怪我をした方への配慮ある年賀状の作成についてご紹介します。
まず、大きなポイントとして「おめでとう」というニュアンスの言葉は含めないほうがよいでしょう。新年を祝う気持ちに変えて「幸せを願っています」という内容を入れると気持ちが伝わります。
含めないようにする賀詞の例
「祝 ・ 寿 ・ 福 ・ 賀 ・ 春 ・ 禧 ・ 慶 ・ 瑞 ・ 祥」
「おめでとう」
「happy」
これらの漢字や語句が一部でも含まれている文章は避けるのが一般的です。
「迎春」・「賀正」などは一般的で「おめでとう」という文字が入っていないように感じがちですが、それぞれ「春」「賀」という漢字を含んでいるので、別の言葉を使ったほうがよいですね。
被災した方・病気や怪我に遭われた方への年賀状
マナーをおさえた年賀状作成のポイント
それでは実際に年賀状の内容を作成してみましょう。
①賀詞に代わる言葉 ②添え書き ③年号 から順に1つずつ選択して組み合わせれば、被災された方、病気や怪我に遭われた方への年賀状が完成する形式でご紹介しています。ぜひ参考にしてみてください。
①賀詞に代わる言葉
いかがお過ごしですか
旧年中は大変お世話になりました
謹んで新年(年頭・年始)のご挨拶を申し上げます
一陽来復
②添え書き
希望があふれる一年になりますよう心からお祈り申し上げます
平和で穏やかな一年になりますよう心からお祈り申し上げます
幸多き年でありますよう心からお祈り申し上げます
平和な一年でありますよう心からお祈り申し上げます
新しい年が明るい年でありますよう心からお祈り申し上げます
③年号
令和○年一月一日
令和○年元旦
20○○年1月1日
20○○年元旦
そのまま使える 被災地へ向けた年賀状 例文
被災地に向けた年賀状ならではの表現も含めて、そのまま使える例文を3つご紹介します。
●謹んで新年のご挨拶を申し上げます
先日の未曾有の災害に対し
心からお見舞いを申し上げますとともに
謹んで新年のご挨拶を申し上げます
令和○年一月一日
●謹んで年頭のご挨拶を申し上げます
本年のご再興ご躍進を心よりお祈り申し上げます
令和○年元旦
●衷心よりお見舞い申し上げます
一日も早く落ち着いた生活を取り戻されますよう
心よりお祈り申し上げております
20○○年1月1日
闘病中の身内がいる場合の年賀状はどうする?
身内が闘病中の場合、年賀状を出すことに抵抗がある方もいると思います。病状や自身の精神状態にもよると思いますが、そんな場合はどのようにすれば良いのか考えてみたいと思います。
届いた年賀状にだけ寒中見舞いとして返信する
身内が深刻な病状で、とても新年を祝う気持ちになれない、という場合は無理に年賀状を出す必要はありません。届いた年賀状を見て、心に余裕があれば寒中見舞いとしてご挨拶されてはいかがでしょうか。
相手によって内容を変える
病状が安定していて気持ちに余裕があれば、闘病中であることを知らない方には例年通りの年賀状で対応しても問題ないでしょう。事情をご存じの方の中には、病状を心配している方もいらっしゃると思います。一言コメントで、様子や回復状況をご報告されると、受け取った方も安心されると思います。
年賀状を辞退したい場合
明日をも知れぬ重篤な病状の場合、家族は年賀状について考える余裕なんてありません。無事に年明けを迎えることが出来たら、寒中見舞いを出されてはいかがでしょうか。もちろん、気持ちに余裕がない場合は欠礼し、割り切って辞退することも大切です。心が落ち着く日を待ちましょう。
寒中見舞い 例文
闘病中の身内がいることには触れずに、届いた年賀状に対して寒中見舞いで対応する場合の例文です。
●ご丁寧な年賀のご挨拶ありがとうございました
新春のご祝辞をいただきながらご挨拶が遅れ 誠に失礼いたしました
皆様には佳き年をお迎えなされました様子
心からお喜び申し上げます
本年も変わらぬお付き合いの程よろしくお願い申し上げます
令和○年 〇月
●年頭にはご丁寧な年賀状をお送りいただきましてありがとうございました
新年のご挨拶が遅くなりまして 大変失礼いたしました
改めまして皆様のご健勝を心よりお祈り申し上げますと共に
本年も変わらぬご交誼のほど何卒よろしくお願い申し上げます
令和○年〇月
まとめ
過去の大きな災害などのときにも「自粛ムード」が広がりました。
しかし、被災地からは「みんなはいつもどおりに生活して欲しい」「特別な自粛は望まない」などの声もあがっていましたよね。送りたい相手に「おめでとう」と伝えるのがはばかられるときにも、少しの知識と配慮をもって書いた年賀状であれば失礼にはあたりません。
一方で、自身が被災されたり、闘病中で困難な状況下にある方もいらっしゃるでしょう。年賀状に向き合う気持ちになれないという場合は、心の余裕ができるまで年始のご挨拶をお休みされるのも決して悪いことではありません。
しかし、なかなか連絡を取り合わなくなってしまったけれど年賀状での交流は毎年ある、という方もいるかもしれません。人と人との架け橋として、日本人が古くから送りあってきた年賀状。迷った時にこそ送ってみても良いかもしれませんね。