年賀状デザインの裏バナシ | 原宿ラテアートカフェ reissue ~つくり手の想いを知る~
進化を続ける立体ラテアート
ほっこりあたたかい年賀状で新年を
原宿ラテアートカフェ
reissue
2015年に『ラテアート』を武器に原宿にオープン。平面のラテアートはもちろん、3Dラテアートの元祖のお店としても有名で、
「ヒルナンデス!」「スッキリ」「マツコの知らない世界」や「王様のブランチ」など数々の番組に登場しています。
現在ラテアーティストは3名。オーナーの「じょーじ」、店長の「るな」、デザイナーの「しー」がラテアートを作っています。国内はもちろん、海外からもたくさんのお客様が来店されるカフェです。
ですが、コロナ禍でリシューをはじめ観光地としての原宿は大打撃を受け苦心しました。それでも負けじとスタッフ一同、力を合わせて頑張っております!
おかげさまで今年も年賀状を作らさせていただき、どのようなラテアートが年賀状にぴったりで、送る方・送られる方に喜んでいただけるかを考え、年賀状としての作品をいくつかご用意させていただきました。
今まではじょーじが年賀状を作っていましたが、寅年からは三人の持ち味を活かし、みんなで年賀状を作っています。
ご賞味のほど、よろしくお願いいたします!
オーナー/ラテアーティスト じょーじさんへインタビュー 年賀状のための3Dラテアートづくり 作品が生まれる瞬間
裏原宿のカフェ「Reissue」店内、柔らかな光が差し込むフロアでのラテアートづくり。スプーンやピックで立体の泡を整え、鮮やかな手つきでモチーフに命を吹き込みます。頭の中にあるイメージを直感的に、あっという間に立体へと変身させていきます。
「ラテアートはアイデア次第、引き出しを増やしまくれば何でも作れるんです。そこに“自分が楽しむ”という要素も盛り込んでいきたい。お店でも、遊び心を利かせやすいリクエストをもらうと燃えますね」
泡立ちの秘訣は…タンパク質!?
きめ細かく立体的な泡をキープするため、牛乳の成分もチェックも欠かしません。
「タンパク質の量や加工の仕方が泡立ちと関係しているのかな、と分析しているんですが、日本の牛乳と海外のものとで結構差があるんですよ。 ニューヨークで現地のイベントのために購入した時は、なかなか泡立たなくて焦りました(笑)」
年賀状ラテは「飲ませてあげたい」プレゼントづくり
おたより本舗でのラテアート年賀状も、毎年大人気。
「ラテアートの年賀状を選んでくれる方は、皆さん“誰かに飲ませてあげたい”という感覚だと思うんです。誰かにプレゼントしたい、届けたいラテアート。“自分が飲みたいもの”とはまた少し違う。その点を意識して作っていますね」
これまでの年賀状で印象深いものを聞いてみると「酉」との答えが。それまでオーダーを受けたことのなかった初挑戦のモチーフが多く、いろいろなアイデアを盛り込んで楽しみながら制作したといいます。
「年賀状づくりでは毎年、その時ごとの自分の最高点を見せられるよう挑戦しています。つくるもの、つくり方が年ごとに変化しているので、振り返って見ると自分でも面白いんです」
“新しいものをつくり続けたい” その思いが「3Dラテアート」に
twitterアカウント(@george_10g)で日々、旬のものや話題のニュースを材料に、ひねりの効いたラテアート作品を発信し続けているじょーじさん。
投稿を重ねるごとに反響を呼び、中でも泡を立体に盛り上げてつくる「3Dラテアート」を独自に編み出したことで、世界中から注目を集める存在に。国境を越え、海外での講演やライブイベントにも参加しています。
そんな彼がラテアートと出会ったのは、フレンチの店でバリスタとして働いていた時。
子どもの頃から夏休みの自由工作で賞をとるなどアイデアを生み出すことが大好きで、ラテアートとの相性はぴったり。
Twitterに投稿したラテアート作品が話題となり、その活動が広く知られるようになりました。
ラテアートは、コトバ遊びの続き
「当初はアーティストとして作品を発信するというよりも、友達と言葉遊びのようなやりとりを交わす中で、自己紹介のようなつもりでTwitterに載せていたんです」とじょーじさん。
店長として毎日カフェでラテアートを提供している今でも、リクエストに応えて瞬時にラテアートをつくるという挑戦は「言葉遊びの延長で、大喜利に近い感覚です」と話します。
「やっぱり一番出したいのは、お客さんを喜ばせるもの。どうしたらこの人が喜んでくれるかなって、オーダーを受けながら1分や2分で一気に考えるんです。限られた時間の中で何か答えを出さなきゃいけない、その状況が面白いんですよ。パッと言葉を引き出してくだらないことを言う、おやじギャグみたいな感じですね(笑)」
頭に浮かんだイメージをすぐさま具現化し、喜んでもらう。そのために必要なのは「いつでもすぐ応えられるように引き出しを増やして、自分の中に溜めておくこと」だそう。
「今まで作ってきたもの、自分の中にストックした引き出しを開けまくって“コレとコレを使おう”と決めたら、後は自分の腕を信じて作るだけ。自分の限界は決めたくない、だから“もっといいものが作れる”という思いは常にあるんですが、リアルタイムで自分の中に生まれるアイデアと腕、できる作品を信じて。自信をもって送り出しています」
ラテアートの発信で日本と世界を繋ぎたい
同時に大切にしているのが、「新しいものを作ること。それも続けていかないと」。
3Dラテアートを生み出した背景にも、平面のラテアートを超える「新しいものをつくりたい」という思いがあったといいます。
「僕は、同じことを繰り返していたら、どうしても飽きて面白くなくなってしまう性格。平面のラテアートにもそんな不安を感じていた時に、3Dラテアートを思いつきました。ちょうど映画やゲームに3Dのものが出始めた頃で、ラテアートでも何かできるんじゃないかって。フレンチのお店で働いていた時に、ふわふわに泡立たホイップをホットチョコレートに乗せるドリンクを出していたんですよ。このアイデアを掛け合わせられるんじゃないかと試してみたら、意外と泡がしっかり形を作ってくれて。まだ技術不足でしたけど、とりあえず形になったことで、これは面白いなと。その後、どうすれば立体的に立つ泡ができるかを試しながら、工夫を重ねました」
twitter上でも、試したアイデアを盛り込みながら3Dラテアートを次々に発信。それが拡散され続け、ネット上で大きな話題に。ラテアートが進化し、新しい形になって浸透していく過程を、SNSを通して多くの人々が見守りました。
中でも海外で大きな反響を呼び、じょーじさんの3Dラテアートを世界に広めるきっかけとなったのが「お魚とネコ」のラテ。猫が魚を覗き込む様子を隣り合った2つのカップで表現した作品。「ストーリーが盛り込まれ、前後が想像できる。これは僕がラテづくりで大切にしている要素のひとつです」
取材中も、海外からのお客さんが続々と来店。「日本に来たなら、これを飲みたい!」と訪ねてくる観光客も少なくありません。「国境を越えて世界と日本が繋がる。日本を盛り上げる意味でも、そのひとつの要素として3Dラテアートを活躍の場に持っていけたらいいなと思っています。それに加えて、やっぱり新しいこともやっていきたい。最近はコマ撮りのストップアニメーションを作ったりと、動くラテアートにも取り組んでいます」
常に新たな挑戦を続け、日本と世界の架け橋となるようなラテアートの発信を目指すじょーじさん。
視覚だけじゃなく、味覚も刺激されて”飲みたい!”と思ったなら、ぜひお店にも足を運んみてはいかがでしょうか。
(編集:田中)