年賀状デザインの裏バナシ | イラストレーター 衣川まや ~つくり手の想いを知る~
キュートな瞳の猫は猫好き必見!
パステルと色鉛筆が織りなすほのぼの年賀状
イラストレーター
衣川まや
大阪芸術大学卒業後、アクセサリー会社での企画・デザインを経て2012年より作家活動開始。現在フリーランス。「どこかココロが温かくなる」をテーマに、パステルと色鉛筆を使用して、触れると温もりが伝わるような優しいタッチのイラストを描く。
猫の目だけでも10色以上!?
“偶然”を大切にしたイラスト表現
「制限や限界のない表現方法に憧れて、絵の道に進みたいと思うようになりました。」そう教えてくれたのは、この透き通るようなイラストの数々を、なんとパステルと色鉛筆だけで仕上げるという衣川まやさん。“制限や限界のない表現方法”とは、いったいどういうことなのでしょうか?
衣川さんのお話によると、何色も塗り重ねているうちに良い色ができたり、ちょっとした色ムラができたり…そんな偶然を大切にしているそうです。なんと、猫の目だけでも10色以上は使用しているんだとか!惜しみない手間に偶然を掛け合わせることで、限りない可能性を模索しているんですね。
制作デスクがアイデアの源!
一番アイデアが浮かんでくる瞬間は、制作デスクに向かっているときだという衣川さん。「とりあえず真っ白な紙を広げて描き始めて、“この表情、〇〇しているように見えるなぁ”とか、“この手、〇〇持たせると可愛いなぁ”とか、想像のままに何枚も描いていくんです。」
時には、清書よりもラフ画の方が良いこともあって、もどかしいのだとか。こんな絵を描く!とイメージを決めて取り掛かるのではなく、膨らむイメージに沿って描かれていくからこそ、一つ一つの作品に奥行きが生まれるんですね。
いつもと違ったテイストも、“偶然”から生まれた!
おたより本舗にも、何度もデザインを提供してくださっている衣川さん。毎年人気の猫デザイン年賀状では、ネコ好きのファンがたくさんいらっしゃいます。
そんな衣川さんが一番挑戦した!と語る一枚は、戌年用の福笑いデザイン。「何気なく千切った和紙が戌の耳に見えて思いついたのですが、完成した戌のいびつさがなんとも愛らしく…そのままデザインとして採用することにしました。」普段の作風とは全く違ったテイストですが、ここでも偶然を大切にされている様子が伺えます。いかにも福笑いを経て出来上がった、というようなゆる~い表情がなんとも愛らしい作品ですね。
自分用の年賀状も、手描きにこだわって
「昔から絵を描くことが大好きだったんです。年賀状を送るときも、学生の頃は全て手描きでしたね。1枚あたり3時間ほどかけて、ハガキいっぱいに描いたものを出していました。新年のご挨拶はおまけという感じで、絵を送りたい気持ちの方が強かったと思います。(笑)」
年賀状1枚につき3時間もかけるとは、すごい…!絵がお得意とはいえ、なかなか真似できるものではないですよね。
お忙しい今、当時の自分がすこし羨ましくもあります、と振り返る衣川さん。現在は印刷も活用しつつ、必ず手描きの部分を入れて年賀状を送るようにしているそうです。
お気に入りの作品は、だれかと似てる!?
こちらは、衣川さんにとって思い入れのある作品のひとつ。2016年に描かれたもので、このネコちゃんの雰囲気が衣川さんと似ているとよく言われることから、プロフィール画像として採用しているそうです。
描かれた作品がご自身のイメージそのものだなんて、絵は人を表す!ですね。
新たな表現を目指して
今後の目標は、“どこかココロが温かくなる作品”というテーマはそのままに、新たな技法・表現方法を見つけていくことだそうです。10年後も20年後も制作を続けていきたいという衣川さん。これからどんな“偶然”が作品に活かされてくるのか、楽しみですね!
(編集:久保)